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令和 4年 9月定例会本会議-09月07日-02号

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  1. 長岡市議会 2022-09-07
    令和 4年 9月定例会本会議-09月07日-02号


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    令和 4年 9月定例会本会議-09月07日-02号令和 4年 9月定例会本会議  令和4年9月7日          ────────────────────────     議 事 日 程  第2号      令和4年9月7日(水曜日)午後1時開議 第1 会議録署名議員の指名について 第2 市政に対する一般質問(4人)          ──────────────────────── 〇本日の会議に付した事件                           ページ 日程第1 会議録署名議員の指名について………………………………………………………32 日程第2 市政に対する一般質問(続)  1 長岡空襲から77年、恒久平和への取組と長岡まつりについて(荒木法子君)……32  2 新型コロナウイルス対策及び物価高騰対策について    柏崎刈羽原発の再稼働問題について    再生可能エネルギーの普及について    一般住宅リフォーム支援事業について(笠井則雄君)…………………………………41  3 長岡市における高齢者虐待への対応と養護者支援について(豊田 朗君)…………51  4 国語力について(田中茂樹君)……………………………………………………………58          ────────────※───────────
    〇出席議員(32人)         多 田 光 輝 君        神 林 克 彦 君         豊 田   朗 君        諏 佐 武 史 君         深 見 太 朗 君        池 田 明 弘 君         荒 木 法 子 君        田 中 茂 樹 君         大 竹 雅 春 君        池 田 和 幸 君         五十嵐 良 一 君        加 藤 尚 登 君         山 田 省 吾 君        関   充 夫 君         杵 渕 俊 久 君        中 村 耕 一 君         丸 山 広 司 君        長谷川 一 作 君         藤 井 達 徳 君        諸 橋 虎 雄 君         丸 山 勝 総 君        古川原 直 人 君         桑 原   望 君        関   正 史 君         松 井 一 男 君        水 科 三 郎 君         笠 井 則 雄 君        関   貴 志 君         酒 井 正 春 君        高 野 正 義 君         五 井 文 雄 君        小坂井 和 夫 君          ──────────────────────── 〇欠席議員(1人)         松 野 憲一郎 君          ──────────────────────── 〇欠員(1人)          ────────────※─────────── 〇説明のため出席した者   市長      磯 田 達 伸 君    副市長     高 見 真 二 君   副市長     大 滝   靖 君    教育長     金 澤 俊 道 君   政策監兼危機管理監危機管理防災本部長  地域政策監   渡 邉 則 道 君           野 口 和 弘 君   地方創生推進部長竹 内 正 浩 君    ミライエ長岡担当部長                                五十嵐 正 人 君   総務部長    柳 鳥 和 久 君    財務部長    近 藤 信 行 君   原子力安全対策室長            福祉保健部長  近 藤 知 彦 君           山 田 慎 一 君   新型コロナウイルスワクチン        環境部長    相 田 和 規 君   接種事業担当部長           大 矢 芳 彦 君   商工部長    長谷川   亨 君    観光・交流部長 星   雅 人 君   都市整備部長  若 月 和 浩 君    教育部長    安 達 敏 幸 君   子ども未来部長 水 島 幸 枝 君   代表監査委員  小 嶋 洋 一 君          ────────────※─────────── 〇職務のため出席した事務局職員   事務局長    小 池 隆 宏 君    課長      青 柳 浩 司 君   課長補佐    宮 島 和 広 君    議事係長    木 村 圭 介 君          ────────────※───────────   午後1時開議 ○議長(松井一男君) これより本日の会議を開きます。          ────────────※─────────── ○議長(松井一男君) なお、報道関係者から写真撮影の申出がありましたため、傍聴規則に基づいて議長においてこれを許可いたしましたので、御了承願います。          ────────────※─────────── △日程第1 会議録署名議員の指名について ○議長(松井一男君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。  会議録署名議員は、会議規則第81条の規定により、議長において中村耕一議員及び丸山広司議員を指名いたします。          ────────────※─────────── △日程第2 市政に対する一般質問(続) ○議長(松井一男君) 日程第2、市政に対する一般質問を行います。  昨日に引き続き、通告順により発言を許します。          ──────────────────────── △質問項目  長岡空襲から77年、恒久平和への取組と長岡まつりについて ○議長(松井一男君) 長岡空襲から77年、恒久平和への取組と長岡まつりについて、荒木法子議員。   〔荒木法子君登壇〕 ◆荒木法子君 市民クラブ荒木法子です。通告に従いまして、長岡空襲から77年、恒久平和への取組と長岡まつりについて質問をいたします。  長岡空襲から77年がたちました。昭和20年8月1日午後10時30分、125機の戦闘機が明治公園を中心に約1.2キロの範囲に飛んできて、約1万6,000本の焼夷弾が落とされました。これにより、当時多くの長岡市民が住んでいた長岡駅前一帯の8割が焦土と化し、お名前が分かっているだけでも1,488名の貴い命が失われました。当時19歳だった私の父は、空襲の知らせを聞いて県外の軍事工場より戻ってきたところ、まちが燃えて、何もかもなくなってしまっていたと話していました。空襲の翌日には栃尾地域の皆様をはじめ、多くの地域から支援を受け、市民はまたあるかもしれない空襲の恐怖と闘いながら避難し、家族を捜しながら、瓦礫の整理や雨風をしのぐ場所をつくり、食べる物を調達し、生活の立て直しに向けて汗を流しました。  新潟県商工経済会中越支部長、現在で言う長岡商工会議所会頭の駒形十吉氏が当時のことを空襲から1年後に行われた戦災復興祭の開会の挨拶で、こう話しています。今日、この1周年記念日を迎えて、まず犠牲者の身の上に思いをはせ、その御冥福を祈るとともに、さらに遠く明治維新戦災焦土の状況をも聞き伝いに想起して、市民は誠に悪戦苦闘して復興に努力し、伝統の粘りを発揮してきました。今のところ当市の復興ぶりは全国有数であるが、裏面には血の苦しみを味わいつつあると言っても過言ではない。このいばらの道を克服して進むために、私たちはこの日を復興のための意義ある記念日とし、一段の奮起、精進を誓い、もって犠牲者の霊を慰めたいと考える。この言葉がまさに長岡まつりの起源であり、次の年の昭和22年からは休止していた大花火大会も再開しています。  昭和26年には復興から発展への願いを込めて、長岡まつりと改称されました。空襲から39年後の昭和59年には非核平和都市宣言を議決、この年から一般社団法人長岡青年会議所が主催する柿川灯籠流しが始まりました。さらに、12年後の平成8年には平和の森公園が完成、平成15年には大手通2丁目に長岡戦災資料館が開館いたしました。平成24年にはホノルル市との姉妹都市を締結し、ワシントン全米桜祭りで平和のシンボルとして長岡花火が打ち上げられました。今から7年前の長岡空襲から70年の年には、議員発議で長岡市恒久平和の日条例が議決、平和祈念式典もスタートいたしました。平成30年8月1日には、長岡まつり前夜祭から平和祭に名称が変更。令和2年からは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により戦災資料館が行っていた長岡空襲を伝える催しや長岡まつり花火大会慰霊神輿渡御は中止になり、平和祈念式典や柿川灯籠流しは規模を縮小して実施されました。そして、今年は3年ぶりに長岡大花火大会が実施され、平和祭での催しも再開し、長岡まつりに活気が戻りました。また、戦災資料館市民団体が行っていた催しも再開いたしました。来年は長岡戦災資料館が開館20周年を迎えます。そして、3年後には長岡戦災資料館が現在の互尊文庫に移転することが決まっています。  現在、空襲の本当の恐ろしさを知る方が80代、90代となり、語り継いでいく難しさに直面しています。また、世界では戦争が絶えず、日常ががらがらと崩れていく様子を報道で目の当たりにし、領土が脅かされている日本においても対岸の火事とは思えず、危機感を抱いている方は多いのではないでしょうか。私たちは、長岡空襲から何を学び、未来へどう生かしていくのか。県内唯一の大規模戦災都市である長岡市が今まで以上に空襲の記憶と平和の大切さを次の世代へしっかりとつないでいく必要があることから、大きく3項目に分けて質問させていただきます。  大きな項目の1つ目は、風化させない取組についてでございます。こちらは4つの観点から伺います。まず、1つ目の観点は、語り部の活動についてです。今年8月1日の長岡市平和祈念式典に参加させていただきました。そこで、当時7歳だった星野榮子さんは、今まで空襲の日のことは人に話してこなかったけど、生き残った者として今伝えなきゃならないという切実な思いで、つらく悲しい経験をお話ししてくださいました。空襲当日の逼迫した状況が目に浮かぶような、具体的で痛ましいお話に心を打たれました。  8月15日、今年の終戦の日の毎日新聞の1面は、空襲などで1万人以上が亡くなった7都府県の語り部団体に今後の活動年数を尋ねたところ、あと5年、あと10年と回答した団体が半分ずつだったという記事でした。10歳で長岡空襲に遭った方は、現在87歳になられます。長岡戦災資料館が移転する3年後には90歳を迎えています。  そこで質問です。これまでの長岡空襲を経験された方々の語り継ぎの活動について教えてください。また、その活動に携わる方々の人数の変化や時がたつにつれ、語り継ぐことが難しくなっている中での対応についても伺います。  長岡戦災資料館では、長岡空襲のお話を映像で撮りためていると聞いています。その数や活用の方法についても教えてください。  2つ目の観点は、学校現場での取組についてです。私は、一般社団法人長岡青年会議所に所属し、6年間長岡市内の小・中学校へ長岡空襲の史実と度重なる困難に対してくじけない長岡魂を伝え、平和のために一人一人ができることを考える平和学習を仲間と共に行ってきました。児童・生徒からは、長岡は戦争による被害が大きかったけど、当時の人の生きる気持ちが復興につながったのだと知ることができた。空襲のときの絵や実際に被災した人の話を聞いて結構ショックだったけど、深く知るきっかけとなって、とても勉強になったなどの感想を頂いています。また、今年から平和学習の講話後にグループワークを取り入れ、平和のために一人一人ができることを考えて、発表していただいています。子どもたちからは、平和のためにできることについて、みんながルールを守って生活をするとか、まず平和の大切さを知り、日々の生活にどう生かせるかを考え、小さなことから始めていこうと思うなどと一人一人が考えて、その子たちなりの答えを導き出しています。そして、彼らの考えを知ることで、私たちも大変学ばせていただいています。昨年は22校、計1,319人の児童・生徒に向けて授業を行ったものの、私たちの活動はまだまだ限定的です。長岡戦災資料館の見学を行う学校もあると聞いていますが、長岡市恒久平和の日条例があるにもかかわらず、長岡空襲の史実や復興にかけた長岡人の思い、平和の大切さを学ぶ学校が固定化しているのではないでしょうか。条例の趣旨を受けて、8月1日を前に、全ての学校で長岡空襲の史実と平和の大切さを子どもたちが自ら考える学びを取り入れる工夫をしていただきたいと考えます。現状の取組と課題、今後の対応について本市のお考えを伺います。  3つ目の観点として、国際交流について伺います。長岡市恒久平和の日条例には、悲惨な戦争の記憶を風化させることなく、平和の尊さを後世に語り継ぎ、広く世界に向けて発信していかなければならないとあります。そこで、今までの姉妹都市との平和交流の取組について伺います。また、近年の新型コロナウイルス禍で渡航できない日々が続いておりますが、平和交流の歩みを止めないために、どのような活動を行っているのでしょうか。その成果も併せて教えてください。  4つ目の観点として、長岡空襲関連の史跡の管理について伺います。昭和22年に建立した昌福寺の戦災殉難者の墓、また昭和26年に長岡駅前に建立され、その後平和の森公園に移転した平和像、平成7年に移転、修復された平潟公園の戦災殉難者慰霊塔をはじめ、左近町にある模擬原子爆弾投下地点跡地の碑、それから水道公園の水道タンクに隣接する予備発電機室棟には焼夷弾が貫通した跡も残っています。また、それらの長岡空襲を知ることができる場所や史跡は、小・中学生が見学をしたり、市民に向けた史跡ツアーも行われています。建立から年月がたっているものも多く、一層目を配る必要が高まっています。長岡空襲関連史跡の管理について、当市の取組や考えを伺います。  大きな項目の2つ目に、長岡戦災資料館の移転整備について伺います。長岡戦災資料館は、平成15年に大手通2丁目に、長岡空襲の史実を伝え、次の世代に平和の尊さを伝えていくために資料館が役立つことを願って開館いたしました。当時のことをよく知る方々からお話を伺うと、当初は科学博物館が収集していた戦災資料がほとんどであったが、市民の皆様の寄贈によって徐々に充実した展示内容になったとのこと。また、平成18年の長岡市制100周年に市民が描く長岡空襲の体験画の募集が行われ、88点の作品が資料館に保管、展示されました。こちらは、空襲が起こっているさなかの惨状や、被災した方の記憶を現在も伝える貴重な資料となっています。また、遺影の収集や長岡戦災焼失図の作成も行われ、長岡空襲を体験された市民と戦争を知らずに育った戦後世代の市民とがそれぞれ力を出し合ってつくった市民活動の場となっています。その後、大手通2丁目にあった長岡戦災資料館は、再開発事業が実施されることとなり、平成20年に現在の場所に移転いたしました。そして3年後、戦後80年のタイミングで互尊文庫に移転することが決まっています。移転する長岡戦災資料館は、長岡空襲の史実をリアルに伝え、復興期における長岡人のガッツと長岡まつり及び大花火大会が慰霊と復興への願いが込められていること、過去から現在、そして未来が地続きであることを伝え、県内唯一の大型空襲を受けた長岡から平和の大切さを発信し、平和を守る人、つくる人を育ててほしい。移転する長岡戦災資料館は、その拠点となる大事な施設であると考えます。  この移転に際して、4つの観点から伺います。まず、移転整備の目的についてです。互尊文庫に移転することで、現在よりも広くなります。ただ資料を並べるだけでなく、この館を通して何を考えてほしいのか、どういう行動ができる人を育てたいのか、どういうメッセージを発信していくのかの落としどころが大変重要だと考えます。  そこで、移転整備される長岡戦災資料館のコンセプトを伺います。また、名称は長岡空襲資料館と分かりやすく、実態に即したものに変更してはいかがでしょうか。当市のお考えを伺います。  そして、子どもから大人まで、多くの年代の方から訪れやすい施設になってほしいというお声も頂いております。例えば大型バスが止められるスペースや一般車両の駐車スペースの拡大など、訪問のしやすさの向上が必要だと考えますが、現在の検討状況について伺います。  次に、展示物や展示手法について伺います。長岡空襲を知らない世代が増えることで、その史実を伝えていくことが難しくなっています。展示物の選定や展示手法に関して、さらに工夫が求められています。広島平和記念資料館は、令和元年にリニューアルし、その際に現物展示を増やし、ストーリーを大事にしたということです。例えば被爆した三輪車や鉄かぶとを展示し、その持ち主についての紹介がされています。遺影についても、その人物像や被災の状況も一緒に紹介することで、見学する方の想像がより広がるのではないでしょうか。また、長岡空襲からの復興期の様子も伝え、長岡空襲と今が地続きだと伝えることで見学者の当事者意識を醸成できると考えます。展示物や展示手法について、当市の検討状況を伺います。  次に、学びの深め方について伺います。移転後も多くの子どもたちにとって、平和学習の拠点となることを期待する声が私のもとにも届いています。長岡戦災資料館に来て、帰るときは、長岡空襲への理解を深め、長岡市への誇りと見学以上の学びを持って帰っていただけるような仕掛けがあるとよいと考えます。例えばピースおおさか大阪国際平和センターでは、一連の展示の最後にワークショップスペースを設け、平和のために一人一人ができることを考える空間を用意しています。長岡戦災資料館にも体験者の証言動画等がたくさんありますので、そういった動画も見られるようにしてはいかがでしょうか。また、ダウンロードできる見学ワークシートを用意し、記入式で見学したことを振り返り、感想や平和のために私たちができることは何かと自分の考えをまとめられるようなワークシートを用意しています。そして、直接現地に来られない学校や団体に向けては、語り部の映像や現物資料の貸出しも行っているそうです。長岡戦災資料館でもこういったことに加え、海外とのオンライン平和学習をサポートするなど、多角的に視野を広げていただきたいと考えます。長岡戦災資料館での学びの深め方や平和学習へのサポート体制について、また現在の検討状況について伺います。  次に、市民、市民団体との連携について伺います。先ほども申し上げたとおり、長岡戦災資料館は市民と行政が力を合わせてつくり上げた資料館です。移転に際し建物の面積が大きくなり、さらに活動の幅を広げていくために、市民、市民団体との協力は不可欠です。今まで活動してきた団体と連携を強化することはもちろん、例えば友の会などをつくって、市民の皆様が参画しやすい仕掛けを行ってはいかがでしょうか。長岡空襲関連の拠点施設として多くの市民に参画していただき、市民協働を実践していただきたいと考えますが、現在の検討状況を伺います。また、検討の段階から若者の視点も大事にしていただきたいと考えます。これからの検討スケジュールも含めて、長岡戦災資料館における市民協働についてお考えを伺わせていただきます。  大きな項目の3つ目に、長岡まつりについて伺います。8月1日は、県内で唯一大規模空襲を受け、お名前が分かっているだけで1,488名の方が亡くなった日であり、冒頭でも紹介した駒形十吉氏の言葉を借りれば、空襲で亡くなった方々への慰霊と一層の奮起、精進を誓う日なのだと考えます。しかし、8月1日に長岡空襲があったことすら知らない市民もまだまだ多いと聞いています。引き続き、長岡市として8月1日という日をさらにしっかりと訴求する必要があると考えます。  まず初めに、8月1日の意義について、本市のお考えを改めて伺いたいと思います。  次に、平和祈念式典について伺います。平和祈念式典は、現在新型コロナウイルス禍で縮小して行っていますが、3年前までは市内11地域の小・中学生姉妹都市の方々も参加し、長岡空襲の記憶と平和の尊さを受け継ぐ決意を新たにする大事な行事でした。ぜひ来年は、市内11地域の小・中学生姉妹都市の方々からも参加していただきたいと考えます。また、平和フォーラムについては、さらに多くの小・中学生から作品を募れるとよいと考えます。  そこで質問です。来年の平和祈念式典検討状況について教えてください。  続きまして、平和祭について伺います。平成30年に前夜祭から名称を変更して、4年がたちました。平和祭と名称を変更した経緯とその後の変化について伺います。  また、現在平和祭と平和祈念式典などの平和関連行事が一体的になっていないように見えます。市政だよりを見ると、戦災殉難者慰霊祭や長岡市平和祈念式典、柿川灯籠流し、慰霊の花火の打ち上げなどは8月1日、平和を祈る行事としており、例えば空襲で亡くなった方へ黙祷をささげる慰霊神輿渡御などは平和祭の行事の1つであり、8月の平和を祈る行事の中には入っていません。慰霊と復興を誓う趣旨で始まった戦災復興祭りであること、前夜祭から名称を変更したことを受け、平和祭としての色を一層強め、8月1日の意義を市民へしっかりと伝えていく必要があると考えますが、本市のお考えを伺います。  最後に、長岡まつり花火大会について伺います。今年8月2日、3日に3年ぶりの大花火大会が開催されました。長引く新型コロナウイルス禍で、市民の心や地域が疲弊し、世界では戦争が始まる中、慰霊と復興、平和を願う長岡大花火大会を行ったことは、大変意義深く、市民の心を明るくし、その影響は全国にも波及しました。市内外の皆様より、開催してくれてありがとうと伝えてほしいとの声を多く伺っています。新型コロナウイルス禍での開催は、陽性者が増え、医療の逼迫へのリスク、全席有料席への変更、飲食店など商業者の皆様からも様々な声があり、大きな葛藤や準備の難しさがあったと推測いたします。また、市民の皆様からも大変たくさんの声が届いたと伺っています。長岡空襲の2年後に打ち上げられた花火も、新潟県中越地震の後に行った大花火大会も、こんなときになぜ、騒いでいる場合じゃないだろうと多くの批判があったと聞いていますが、それでも実施することで長岡市民は奮起、精進してきた歴史があり、今年もその気概を感じるものでありました。  そこで、最後の質問です。慰霊と復興、平和への思いを込めて打ち上げる長岡大花火大会開催に向け、決断に至る思いや浮かび上がった課題など、今年の大花火大会に対するお考えを伺いたいと思います。 ○議長(松井一男君) 磯田市長。   〔市長磯田達伸君登壇〕 ◎市長(磯田達伸君) ただいまの荒木議員の御質問にお答えいたします。私からは、長岡戦災資料館の移転整備と長岡まつり花火大会についてお答えいたします。  長岡市は、新潟県内唯一の大規模戦災都市として昭和59年に非核平和都市宣言、平成15年の長岡戦災資料館の開館、平成27年には議員発議による長岡市恒久平和の日条例の制定など、これまで戦争の悲惨さや平和の大切さを発信してまいりました。しかし、世界に戦火の収まるときはなく、犠牲者が絶えることもありません。このような中で長岡戦災資料館の存在意義は、一層大きくなってきたと感じているところであります。長岡戦災資料館については、これまで御説明してきたとおり、民間からの賃借である現在の建物から互尊文庫の建物へ移転整備することにしております。長岡市民恒久平和実現の思いを込めた恒久的な伝承施設として、新しい長岡戦災資料館をしっかりと整備してまいりたいと考えているところであります。  議員からはいろいろな提案も頂きました。そういう意味ではあれもやりたい、これもやりたいという思いが私どもとしてもあるわけですが、私としては基本的に今まで長岡戦災資料館に関わってきていただいた方々の思いを中心に、例えば子どもたちが被災の体験を追体験することによって、例えば自分の家族がそういうことになったらどうなるのかとか、どう思うのかをまず感じてもらう場所にしてもらいたいというふうに思うんです。言わば戦争を知識としてではなくて、内在的な対象というか、経験として自分のものとしていく場にしていけたらいいのではないかなというふうに思っております。そういう意味ではいろいろな資料を並べて説明して、知識として長岡空襲や戦争というものを説明することも大切だと思いますが、それよりもまず祈りとか追体験とか、あるいは本当に悲しみを自分の中に感じる、そういう場にしていきたいと考えているところであります。市民の皆様と一緒につくっていく、成長していく施設としてつくってまいりたいと考えているところであります。  次に、長岡まつり花火大会についてであります。今年の花火大会は、全国的な新型コロナウイルスの感染状況から、御指摘のように開催を心配する声も本当にたくさん寄せられて、私としても非常に難しい判断を迫られました。そのような状況の中、客観的に国や県から行動制限が出ていなかったこと、そして感染者の重症化があまり見られなく、結果的に医療の逼迫がそれほどなかったというふうな条件から、でき得る限りの感染対策を取った上で、3年ぶりに開催するという決断をしたわけであります。結果的に長岡まつり花火大会は、大きな混乱もなく開催することができました。大会後に顕著な感染拡大も見受けられなかったと認識しております。難しい状況の中で3年ぶりに開催することができたのは、この長岡市の判断に対して御理解、御協力いただいた市民の皆様、観覧者の皆様、そして長岡花火財団、花火師をはじめ、開催に御尽力いただいた大会関係者のおかげだと考えております。心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。  花火を御覧いただいた多くの方々から感動した、やってよかったという評価を頂きましたが、その後特にいろいろ首都圏等に出かけることがあったときに、皆様一様に長岡花火のすばらしさについて熱く語っていただいていることを私としては非常に感慨深く受け取っているところであります。メディアやSNSでも数多く取り上げていただきましたので、長岡花火に込められた慰霊、復興、平和への思いを全国に広く発信することができたのではないかなと考えております。繰り返しになりますが、市民の皆様、来場者、関係者の皆様、そして議員各位の御理解、御協力に対し、この場をお借りしまして改めて深く感謝申し上げます。ありがとうございました。  私からは以上でありますが、残りの質問につきましては総務部長、教育部長、観光・交流部長からお答え申し上げます。 ○議長(松井一男君) 柳鳥総務部長。   〔総務部長柳鳥和久君登壇〕 ◎総務部長(柳鳥和久君) 私からは、語り部について、長岡空襲史跡の管理について、長岡戦災資料館の移転整備について、8月1日について、市長が答弁した以外の部分についてお答え申し上げます。
     まず、語り部についてですが、現在9名が実体験の語り、体験談朗読などの活動を行っております。コロナ禍で制約もありますが、過去2年中止いたしました長岡空襲の体験を聞く会は、今年3年ぶりに開催いたしました。語り部の平均年齢は、今年の8月1日現在で満86歳と大変高齢化が進んでおります。語り継いでいくため、新しい語り部の育成に努めるとともに、体験談や証言を語った方々の映像29人分をDVDにしております。これらは長岡戦災資料館で来館者に見ていただいたり、学校へ貸し出したりして平和学習に活用しているところでございます。  次に、長岡空襲史跡の管理についてお答えいたします。長岡空襲の惨禍を伝える史跡が市内に数か所ございますけれども、その管理体制は例えば平潟公園の戦災殉難者慰霊塔のように市が所有し、管理するもの、または左近町にある模擬原子爆弾投下地点跡地の碑のように市で所有して、地元の町内会から管理いただいているものなどがございます。いずれも空襲の事実を伝える重要なツールですので、今後も大切に管理してまいりたいと思っております。  次に、新たな戦災資料館のコンセプトについてお答えいたします。多くの思いを受け継ぐ新施設は、厳かなたたずまいの中、来館者が穏やかに過ごし、慰霊の気持ちを感じる閑静な施設であること、次代を担う若者が長岡空襲と平和を一体的に学ぶことができる施設であること、市民と行政が共に育て、平和への思いを発信していく施設であることをコンセプトとし、恒久的な伝承施設として整備いたします。長岡戦災資料館は、平成15年の開館当初から様々な方の協力を得て運営してまいりました。今ほど市長が申し上げましたけれども、今後も長岡戦災資料館企画運営検討委員会や運営に携わっておられるボランティアの皆様など、関係者からも御意見をお聞きした中で議論し、議員からの様々な御提案がございました。それらを参考にしながら検討を進めるとともに、若者も含め、広く市民の皆様からも御意見を頂きたいと考えております。  次に、8月1日の意義についてお答えいたします。長岡市は、条例で8月1日を長岡市恒久平和の日と定めております。したがいまして、当然のことながらこの日は市民にとって忘れてはならない大切な日であり、市や様々な団体が戦災殉難者慰霊の行事を開催しております。その中で、長岡市平和祈念式典や長岡平和フォーラムについての御提案ですが、今後の感染症収束後の社会情勢なども踏まえた中で検討してまいりたいと思っております。  私からは以上でございます。 ○議長(松井一男君) 安達教育部長。   〔教育部長安達敏幸君登壇〕 ◎教育部長(安達敏幸君) 私からは、学校での取組についてお答えいたします。  子どもたちが平和について学ぶ学習は、小・中学校の各教科、領域で行われておりまして、小学校3年生や6年生は社会科で必ず長岡空襲を題材として取り上げています。また、小学校では総合的な学習で取り組んでいる学校も多く、議員から御紹介がありましたけれども、青年会議所の出張授業に手を挙げている学校、長岡戦災資料館をはじめ、市内の関連施設の見学に力を入れている学校、戦災資料館の派遣型学習会を利用する学校、また平和劇の上演や白菊の打ち上げに取り組む学校などがあります。さらに、長岡空襲を通して実感した平和への願いや思いを、姉妹都市でありますホノルル市とオンラインで交流する学校もあり、表現活動も様々であります。今後も長岡空襲などの被災を伝える貴重な資料や冊子、市内の各施設や活動団体の積極的な活用を呼びかけるなど、長岡空襲を通して平和の尊さを学ぶ学習の充実について各校に働きかけてまいります。  私からは以上であります。 ○議長(松井一男君) 星観光・交流部長。   〔観光・交流部長星雅人君登壇〕 ◎観光・交流部長(星雅人君) 最後に、私から残りの御質問につきましてお答えいたします。  まず、姉妹都市交流におきましては、世界の恒久平和に寄与するという目的の下、長岡市国際交流協会と共に異文化や多様性への理解を促進してまいりました。中でもホノルル市とは真珠湾における慰霊の花火の打ち上げや青少年の交流などを通じ、平和をテーマに交流を続けてまいりました。コロナ禍の現在では、市内の小・中学生を対象に、オンライン平和学習を実施しており、ホノルル市の学校や真珠湾にある資料館などとつなぎ、意見交換や施設見学を行っております。参加した子どもたちからは、戦争をなくすためにはお互いを知ることが大切だという声が聞かれました。令和2年度から始めましたこの取組は、今年度は5校で実施します。オンラインでの交流は、一度に大勢の参加が可能であることから、学習者の視野を広げることができます。これからも姉妹都市や学校と連携し、平和について学ぶ機会を提供してまいります。  最後に、平和祭についてお答えいたします。長岡まつりは、昭和20年8月1日の長岡空襲から立ち上がり、復興、前進することを目的に始まりました。そして、現在8月1日の夜に行われている平和祭は、平成29年まで前夜祭という名称でした。空襲のあった日に開催される行事が前夜祭と呼ばれることに違和感がある、長岡まつりの意義を次世代に伝えられるようにしたいとの声があったことから、平成30年に長岡まつり統括本部で議論し、前夜祭主催団体でございます長岡商工会議所が名称を前夜祭から平和祭へ変更したものでございます。平和祭への変更後は、市民の恒久平和の願いを込めたまつりへの思いを広く知っていただくために、平和の象徴である白いハトをかたどったバルーンリリース、慰霊の黙祷などが行われるようになりました。議員がおっしゃるように、長岡まつりの意義を次世代にしっかり伝えられるよう、関係者と共有し、今後も慰霊、復興、平和のメッセージをしっかりと発信してまいります。  以上でございます。 ○議長(松井一男君) 荒木法子議員。   〔荒木法子君登壇〕 ◆荒木法子君 2点再質問させていただきます。  まず、1点目は語り部についてでございます。語り部については先ほど御答弁いただいたとおり、平成15年の開館当時は34名の語り部の方がいらっしゃったと伺っておりますが、現在は9名になっており、そして平均年齢が86歳ということでございます。先ほど総務部長より新しい語り部の育成というお言葉を頂きましたが、具体的にどのような対応を検討されているのか伺いたいと思います。  もう1点目は、平和祈念式典と平和祭のお話でございます。私はさきの質問で、平和祭と平和祈念式典が区別されているように見えて違和感を感じているというお話をさせていただきました。8月1日の平和祭と平和祈念式典を一体的に行っていったほうが市民への訴求力が高まり、8月1日の意義が一層伝わるのではないかと申し上げたつもりでございます。もう一度、ここの部分について御答弁いただければと思います。 ○議長(松井一男君) 柳鳥総務部長。   〔総務部長柳鳥和久君登壇〕 ◎総務部長(柳鳥和久君) 語り部についてでございますが、語り部の育成に努めていると先ほど答弁申し上げました。実際に経験された方が本当に少なくなってきておりますので、経験されていない若い世代の人たちもそういうふうに伝承したい、語りたいという方がいらっしゃいますので、そういう人たちに対してその映像を見て勉強していただいたりなどして育成に努めているところでございます。  以上でございます。 ○議長(松井一男君) 星観光・交流部長。   〔観光・交流部長星雅人君登壇〕 ◎観光・交流部長(星雅人君) 平和関連行事を一体的にという再質問だと思いましたけれども、私のほうからは長岡まつりを所管している部署の立場でお答えさせていただきます。  御承知のとおり各行事、イベントは主催者がそれぞれいるわけでして、名称自体も主催者が最終的にお決めになるということでございます。もちろん長岡まつりの統括本部会議で、情報共有や意見交換もいたします。実際、前夜祭から平和祭へ名称を変更したときもこの統括本部会議で意見交換、それから議論がなされ、最終的には主催者であります長岡商工会議所が平和祭への名称変更を決定したという経緯でございます。  議員御提案の、平和祈念式典を平和祭の中に位置づけるということに関しては、まずは主催者、平和祈念式典は市の総務部庶務課が主催、担当するわけですけれども、それだけではなくて、現在の平和祭の主催者であります長岡商工会議所のほうが、まずはどう判断するか。さらに関係者、この場合は共催団体はもちろんのこと、平和祈念式典ですので、御遺族の意向確認といったものもあるのではないかというふうに考えます。直接式典を所管しているわけではないので、私のほうからお答えするのが適当ではないかもしれませんけれども、内容が内容だけに非常に微妙といいますか、デリケートなことで、関係者に意向確認すること自体もひょっとしたら難しいかもしれないのではないかなというふうに考えます。いずれにしましても議員の御意見は関係者と共有させていただき、それから御提案の趣旨、目的としては、長岡市恒久平和の日である8月1日に平和のメッセージを強く発信することが大切だというふうに私どもも考えております。そういった強く発信するということについては、今後も関係者と共にしっかりとやっていきたいという考えでございます。          ──────────────────────── △質問項目  新型コロナウイルス対策及び物価高騰対策について  柏崎刈羽原発の再稼働問題について  再生可能エネルギーの普及について  一般住宅リフォーム支援事業について ○議長(松井一男君) 次の質問に移ります。  新型コロナウイルス対策及び物価高騰対策について、柏崎刈羽原発の再稼働問題について、再生可能エネルギーの普及について、一般住宅リフォーム支援事業について、笠井則雄議員。   〔笠井則雄君登壇〕 ◆笠井則雄君 日本共産党議員団の笠井則雄であります。新型コロナウイルス対策及び物価高騰対策について、柏崎刈羽原発の再稼働問題について、再生可能エネルギーの普及について、一般住宅リフォーム支援事業についての4点について、一括方式で一般質問を行います。  第1の質問は、新型コロナウイルス対策及び物価高騰対策についてであります。新型コロナウイルスのオミクロン株BA.5の爆発的な感染拡大が続いております。医療機関の発熱外来に受診者が殺到し、各地でパンク状態が続いたと聞いているところであります。厚生労働省によると、病床使用率は8月31日現在でステージ4の50%以上になり、逼迫度が増しています。今、政府にお願いしたいことは、BA.5がどのように推移するのか、医療機関の現状を踏まえたパッケージでの感染対策を国民に発信し、丁寧な説明を行ってほしいものであります。また、感染対策としてあらかじめ言われておりましたが、換気が極めて重要であることが再現されているところであります。速やかに社会全体、各業界、各機関に徹底すると同時に、財政支援を行うことが大事ではないかと思うところであります。国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、感染拡大のスピードが驚くほど速く、慣れや安堵感がこのままいくと、気づいたときに多くの人が亡くなるという事態にもなりかねない、やれる対策は緩めてはいけない現状だと思うと述べております。  話は変わりますが、物価高も深刻であります。生活必需品の値上げが加速しております。帝国データバンクの調べでは、今年に入って、8月は2,431品目が値上げされ、9月は1,661品目、10月は6,035品目の値上げが計画され、食品値上げは年内で2万品を超え、平均値上率は14%となる見通しであります。国民、市民の皆さんの悲鳴の声が聞こえてきます。日銀が行った個人の生活意識に関する調査では、1年前に比べて物価が「上がった」と答えた人の割合は何と89%。1年前に比べて暮らしの「ゆとりがなくなってきた」と答えた人の割合は43.2%と前回の調査から増えております。さらに心配があります。9月1日の円相場は、一時140円台に急落し、24年ぶりに円安水準を更新しました。円安による輸入物の高騰が長期化し、国内物価への波及が今後も続くおそれがあります。生活必需品が全般的に値上がりしている中に、政府の対策は部分的な内容になっていると感じます。消費者と中小企業の双方にとっても、全般的な負担軽減となる消費税減税の実施が求められていると私は思います。  そこで、1つ目の質問です。地方創生臨時交付金の拡充についてであります。報道によれば、コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が拡充されたということですが、長岡市の対応を伺います。  2つ目の質問は、発熱外来の受診状況と無料PCR検査の延長についてであります。発熱外来を実施する医療機関の逼迫を回避するために、発熱外来の箇所数や行政検査を実施する臨時検査センターの増設が必要と考えますが、現在の発熱外来の受診状況についてと、こうした医療機関の逼迫を回避するための市の考えをまず伺います。また、感染者の早期発見や感染不安を抱える市民の安全のために、今後9月以降も無料PCR検査等の延長が必要と考えますが、市の見解を伺います。  3つ目の質問は、医療従事者等及び高齢者施設従事者等の4回目ワクチン追加接種についてであります。県内の病床使用率は、8月以降6割を超えており、その上医療従事者の感染拡大も生じていると聞いております。長岡市も医療従事者等の4回目の追加接種を呼びかけていますが、現状についてお伺いいたします。  4つ目の質問は、入院体制の整備状況と医師、看護師等の確保に向けた支援についてであります。通常医療に制限がかからないような入院体制の整備が必要と考えますが、現在の県と市の入院病床の整備状況と病床使用率を伺います。また、入院体制を維持するため、医師、看護師等の確保策、派遣等を国・県に要望すべきと考えますが、市の見解をお伺いします。  5つ目の質問は、コロナ禍における高齢者施設等の状況把握及び支援についてであります。高齢者福祉の増進と新型コロナウイルス感染対策という難しい現場で頑張っていただいている高齢者施設職員等への応援も込めて質問させていただきます。高齢者施設等は、利用者や施設職員に感染拡大が生じ、施設によっては臨時休館を行ったところもあります。先週も頑張っていただいているデイサービスセンター等で職員が複数感染し、臨時休館に至った施設もあると聞いております。今以上に高齢者施設等の状況把握や施設応援支援金の給付など、市として強いメッセージが必要ではないかと考えますが、伺います。  6つ目の質問は、原油高に伴う病院や福祉施設等の影響調査と支援についてであります。電気代高騰や食材高騰など、病院や福祉施設を直撃しております。原油高等に伴う影響調査と具体的支援が必要と考えますが、伺います。  7つ目の質問は、コロナ禍における地域経済実態調査についてであります。第7波の影響を含め、改めて長岡市においてコロナ禍における地域経済の実態調査を行うことが必要と考えますが、市の考えを伺います。  第2の質問は、柏崎刈羽原発の再稼働問題についてであります。東京電力福島第一原発事故による全町避難が続いていた双葉町で8月30日、11年5か月ぶりに一部帰還が開始されました。準備宿泊の登録者は延べ51世帯、84人にとどまるとの報道。このように一度原発事故が起きると、10年たっても多くの住民はふるさとに帰れないのが現実であります。  さて、東京電力が柏崎刈羽原発を含む3原発の設備でひび割れなどを見つけながら組織的に隠蔽したトラブル隠し、内部告発の発覚から20年になりました。東京電力は、地元住民の信頼を失い、当時の経営陣が引責辞任。長年不正を見抜けなかった国の対応も問題視されたところであります。このトラブル隠しから20年に際し花角知事は、近年も不備が見つかっていることを挙げ、東電が原発をマネージできる能力を持つのかしっかりチェックされないと、信頼を取り戻すのは容易でないとの認識を示したと報道。少し前になりますが、5月30日の新潟日報によれば、県知事選挙の出口調査における柏崎刈羽原発の再稼働について、「反対」、「どちらかといえば反対」は約49.7%、県民の約5割であります。一方、「賛成」、「どちらかといえば賛成」は25%であります。県民の思いは、柏崎刈羽原発再稼働に反対であります。  海外に目を向けると、原発が大変なことになっています。国連安全保障理事会は、8月11日、欧州最大のウクライナのザポロジェ原発に対する砲撃が続いていることを受けて、公開会議を開きました。国際原子力機関IAEAの事務局長は、砲撃で配電盤付近が被害を受け、原子炉1基が停止したことを明らかにしました。ロシア軍の撤退を求めるものであります。このことは、テロや戦争時には原発そのものが攻撃目標になり、原発事故の危険が極めて高くなることが改めて明らかになりました。  そこで、1つ目の質問は、柏崎刈羽原発6、7号機の追加再稼働に向けた動きについてであります。8月24日に岸田首相は、政府の第2回グリーントランスフォーメーション実行会議において、新たに柏崎刈羽原発を含む7基の原発再稼働方針を表明しました。同月28日の新潟日報社説は、昨年の国のエネルギー基本計画改定時には福島原発の反省が明記され、原子力は可能な限り依存度を低減という従来の方針を堅持していた。福島県では、高い放射線量で地元に帰れない避難民が今も数万人に上る。核のごみの最終処分場は未定で、核のごみ処分は課題である。福島事故の教訓を踏まえ、安全優先の姿勢で臨むべきだと安全性の議論を置き去りにした内容について警鐘を鳴らしているところであります。1年で政府の方針がこのように激変するのは本当によいことなのでしょうか。政府の原発政策転換についての磯田市長の見解を伺います。  2つ目の質問は、東京電力の原発運転適格性についてであります。マスコミ報道によれば、柏崎刈羽原発では核物質防護体制の不備で原子力規制庁の追加検査が行われ、4月にその中間取りまとめが公表されました。5月には、東京電力本社の社員が有効期限切れのIDカードで柏崎刈羽原発に入構していた問題が発覚。7月には、東京電力本社社員が核セキュリティーに関する情報が記された秘密文書を無許可で持ち出した事件が発生。さらに、3月に発生した重大事故に備える非常用ディーゼル発電機が部品劣化などで24時間の連続運転が停止する問題が、この7月になっても依然として復旧していないことが分かりました。この発電機の問題は、大問題だと私は思っています。半年たっても、事故時に代替機能としてあるこの発電機がいまだに使えない、直らないということであります。また、東京電力の株主訴訟では、津波対策を怠ったため、東京電力福島第一原発事故が防げなかったとして東京電力旧経営陣4人の過失を認め、約13兆円を東電に支払うよう判決が下されました。もう二度と事故を起こしちゃいけないという強い怒りの警告の判決だと私は思います。柏崎刈羽原発から半径30キロ圏内の長岡市として、このような昨年の一連の不適切な事案を受け、改善措置に取り組んでいるにもかかわらず、相変わらず不祥事が続くことについてどのような認識かをまず伺います。また、東京電力の原発運転適格性についても伺います。  3つ目の質問は、安定ヨウ素剤の配布についてであります。  ①新潟県は、原発事故時に避難住民の甲状腺被曝を抑える安定ヨウ素剤の事前配布について、柏崎市のUPZ圏の住民に事前配布を始めましたが、概要について伺います。  ②安定ヨウ素剤は、服用のタイミングが大事と言われております。現状の県の対策では福島原発事故の二の舞になり、甲状腺がんが発症するのではないかとの心配もありますが、県の対応内容を伺います。  ③長岡市内のUPZ圏内の市民に対する早期の安定ヨウ素剤配布が要望されていますが、今後長岡市での事前配布の方向性について伺います。  第3の質問は、再生可能エネルギーの普及についてであります。国連のIPCC、気候変動に関する政府間パネル「1.5℃特別報告書」は、2030年までに大気中の温室効果ガスの排出を2010年比で45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと世界の平均気温の上昇を産業革命前に比して1.5度まで抑え込むことができないことを明らかにいたしました。4℃も上昇してしまうと気候変動による影響が連鎖して、悪化を止められないという破局的な事態に陥ってしまうと言われています。パリ協定は、それを避けるために上昇幅を2℃を十分に下回り、1.5℃以内に抑えることを目的として、日本を含む世界196か国が合意し、締結いたしました。御存じのように、既に世界の平均気温は1.1℃から1.2℃上昇しており、破局的な気候変動を回避するために取り組む時間は長くはありません。  政府は、令和3年10月に地球温暖化対策計画を閣議決定、2050年カーボンニュートラル宣言をし、2030年度に温室効果ガスの46%削減の実現を目指すとしております。これらを受けまして、長岡市は持続可能な循環型社会の構築に向けた研究会で、今年3月に2050年カーボンニュートラルの実現に向けた提案を行い、温室効果ガス排出量削減の目標設定に入りました。  そこで、1つ目の質問は、長岡市エネルギービジョン(仮称)検討委員会についてであります。検討委員会で論議して策定するエネルギービジョンの取扱いとビジョンの数値目標、取りまとめスケジュールを伺います。  2つ目の質問は、ビジョン策定に向けたアンケート調査についてであります。アンケート調査の目的と現在取りまとめている概要をお伺いします。  3つ目の質問は、カーボンニュートラルに向けた事業展開についてであります。長岡市は、温室効果ガスの排出量を抑える脱炭素化の流れを新たなビジネスチャンス、ビジネスモデルにつなげるため、関係団体との連携強化を目指す省エネ・再エネ産業振興プラットフォームを立ち上げ、取組を始めたことは十分承知をしていますが、カーボンニュートラルに向けた事業展開の考え方をお伺いしたいと思います。  第4の質問は、一般住宅リフォーム支援事業についてであります。市内の建築関係業者による地域経済の活性化と市民の住環境向上を図るため、住宅リフォーム事業は好評であります。私ども党議員団は、今年5月に磯田市長へ12回目の新型コロナ対策を含む緊急経済対策要望書を提出いたしました。この要望の1つの柱として、令和4年度2回目の住宅リフォーム支援事業の実施を強く要請したところであります。市は6月補正で、2回目の住宅リフォーム支援事業を3,000万円で予算化しました。この事業は希望者が殺到し、1週間で申請受付を停止したと聞いているところであります。  そこで、1つ目の質問は、令和4年度1回目、2回目の執行状況及び経済波及効果についてであります。カーボンニュートラルに向けた取組としても評価の高い住宅リフォーム支援事業について、執行状況及び経済波及効果について伺います。  2つ目の質問は、国の法改正に伴う断熱性の高いZEH普及等に向けた取組についてであります。断熱性の低い家は、夏は暑く、冬は寒い家となる分、冷暖房を動かすエネルギー消費が増えます。家庭における地球温暖化対策は、断熱性能をいかに強化するか否かが鍵を握ると言われています。県は本年度、雪国型ZEHを広めるため、モデルハウス等20棟でモニターを実施していると聞いています。新築住宅の省エネ義務化を柱とする改正関連法が6月に成立しました。まだ認知度が低いと思われますが、断熱性の高いZEH普及に向けた取組促進が求められていると思いますが、市の方向性について伺います。  3つ目の質問は、コロナ禍における事業継続についてであります。原油価格・物価高騰に対する対策としても、地域経済活性化対策としても、カーボンニュートラルに向けた取組強化が重要な時期であります。国の新築、改築支援メニューも活用しながら、一般住宅リフォーム支援事業を新年度も継続すべきと考えますが、市の考えを伺います。 ○議長(松井一男君) 磯田市長。   〔市長磯田達伸君登壇〕 ◎市長(磯田達伸君) ただいまの笠井議員の御質問にお答えいたします。私からは、地方創生臨時交付金の拡充について、地域経済実態調査について、そして3つ目に柏崎刈羽原発6、7号機の追加再稼働に向けた動き等についてお答えいたしたいと思います。  市では今年度に約61億円の予算を計上いたしまして、新型コロナウイルス感染症対策と物価高騰対策を実施してまいりました。この財源としては、国からの交付金だけではなく、一般財源も約11億円を充当しております。そのうち物価高騰への対応分といたしましては、直面する子育て世帯の経済的な負担、原油価格高騰に直面する事業者などの負担を軽減するため、5月末から機動的に対応して、総額約28億円の各種支援策を実施してきたところでございます。コロナ禍における地域経済の実態調査につきましては、引き続き市内企業の景況調査をタイムリーに、かつ幅広に実施していくなど、今後も市民生活や事業者への影響を的確に把握しながら必要な対策を講じてまいりたいと考えております。その上で、地方創生臨時交付金の拡充につきましては、国からの正式な通知を待って、各種対策の財源として活用してまいります。  議員のほうからいろいろな経済的な問題点について御指摘いただきました。特に急激な円安が進んでおりまして、これによるエネルギー価格の高騰、物価高騰がこれからどんどん出てくる。10月には6,000品目以上の生活用品が上がるという報道もあります。そういう中で、確かに御指摘のように対策が必要な事態が既に起きており、また今後もそれが高進していくというふうな認識を持っておりますが、私はこの急激な円安に起因する経済問題は、例えば金利を上げるとか、やはり国が金融政策として対応する。それか、御指摘もありましたような税制の中でしっかり対応していくことが基本だろうというふうに思います。そういう意味では、長期化している円安の影響、物価高騰の問題につきましては、個別の事案の対応ではとても追いつかない、効果が薄いという感じも持っておりますので、ここはぜひ全国市長会等を通じながら国の抜本的な経済対策、経済対応を求めていきたいと考えているところであります。  次に、柏崎刈羽原発の6号機、7号機の追加再稼働の問題についてであります。8月24日に開催されました第2回GX、グリーントランスフォーメーション実行会議におきまして、首相は令和5年夏以降に柏崎刈羽原発6、7号機を含む新規制基準の審査に合格した原発7基の再稼働を目指す方針を表明いたしました。この方針に対して花角知事は、新しい話ではない、柏崎刈羽原発の再稼働問題については県の3つの検証の結果が出てから議論を始めたいと発言しています。現時点で、県の柏崎刈羽原発の再稼働問題に対する一連の流れに変わりはないと受け止めているところではありますが、私としては政府方針によって、安全性の問題が十分に検証、議論されないような事態が生ずることは絶対にあってはならない、あり得ないというふうに感じているところであります。今後も県の3つの検証と国の追加検査の進捗状況を注視してまいります。引き続き市民の不安が解消されない限り、原発は再稼働すべきではないという姿勢を堅持してまいります。  私からは以上でありますが、残りの御質問につきましてはそれぞれの担当部長からお答え申し上げます。 ○議長(松井一男君) 近藤福祉保健部長。   〔福祉保健部長近藤知彦君登壇〕 ◎福祉保健部長(近藤知彦君) 私からは、感染症対策、原油価格等高騰対策についてお答えいたします。  初めに、発熱外来の受診状況と無料PCR検査の延長についてお答えします。市内の発熱外来の受診状況は、お盆明け以降に増加傾向が続き、県内全体も同様の状況であったことから、県は有症状かつ重症化リスクが低い方を対象に抗原検査キットを配付し、陽性となった場合は発熱外来を受診することなく、自らウェブ上で登録を行う陽性者登録センターを開設することで医療逼迫の解消を図っております。また、県が実施している無料のPCR検査は9月30日まで延長されましたが、その後につきましても市内の感染状況を注視し、状況に応じて引き続き要望等を行ってまいりたいと考えております。  次に、入院体制の整備状況と医師、看護師等の確保に向けた支援についてお答えします。8月末現在の入院病床数は、県全体が684床、そのうち長岡市内の病院は73床整備されております。これに対する病床使用率は、県全体、長岡市ともに50%程度となっております。また、現在の感染拡大の中で、医師、看護師等が感染したり、濃厚接触者となることにより多くの休職者が発生し、一時的に通常の入院を制限する状況も見られたため、市ではこのような事態に備えた医療従事者の確保や派遣策について既に県に要望しており、現在県において検討がなされている状況です。  次に、高齢者施設等の状況把握及び支援についてお答えします。市におきましても、施設で利用者や職員が感染したときは逐一報告いただいて、状況を把握しております。施設では、感染者の発生により、限られた人数で細心の注意を払いながら安全・安心なサービスを提供しなければならず、職員の負担が増しているものと認識しております。こうした中、県は感染者の施設内療養を行った施設に対する経費助成や抗原検査キットなどの配付を行っているほか、市ではPCR検査費用の一部を助成し、職員が安心して働けるよう支援しております。  次に、原油高等に伴う病院や福祉施設等の影響調査と支援についてお答えします。医療関係団体や福祉施設からは、原油価格の高騰により燃料費等様々な経費が上昇し、医療機関や福祉事業者の負担も増していると聞いております。このことが医療機関の運営や福祉施設の利用者へのサービス低下につながらないよう、現場の状況を把握し、国に対応を求めるとともに、市としましても必要な支援策について研究してまいります。  私からは以上です。 ○議長(松井一男君) 大矢新型コロナウイルスワクチン接種事業担当部長。   〔新型コロナウイルスワクチン接種事業担当部長大矢芳彦君登壇〕 ◎新型コロナウイルスワクチン接種事業担当部長(大矢芳彦君) 私からは、医療従事者や高齢者施設の従事者へのワクチン接種についてお答えいたします。  これらの方への4回目接種につきましては、国が接種対象に追加したことを受けまして、当市では7月24日から開始しております。このうち病院や診療所では、数回に分けて院内での接種が行われております。また、高齢者施設などでは入所者の接種に合わせて従事者の接種が進んでおります。さらに、接種につきましては市の集団接種でも可能としておりまして、おおむね今月中旬には終了すると見込んでおります。  私からは以上になります。 ○議長(松井一男君) 山田原子力安全対策室長。   〔原子力安全対策室長山田慎一君登壇〕 ◎原子力安全対策室長(山田慎一君) 私からは、柏崎刈羽原発の再稼働問題に関する市長がお答えした以外の御質問にお答えいたします。  御質問にありました東京電力の一連の不適切事案につきましては、柏崎刈羽原子力発電所の安全対策の信頼性や、事業者の安全文化及び企業体質を含む適格性を損なう重大な問題であると認識しており、これらの事案に対し、真摯に対応することを求めております。市といたしましては、一連の不適切事案を踏まえ、市町村による原子力安全対策に関する研究会を通じまして、昨年5月に国や県に対して企業風土や安全文化を含めた原子力事業者としての適格性について評価、検証を要望しております。今後も国の追加検査を注視するとともに、県の検証についてもしっかり把握してまいりたいと考えております。  続いて、安定ヨウ素剤の配布についての御質問にお答えいたします。県は、今年4月から原発からおおむね半径5キロ圏のPAZで配布実績のある柏崎市から先行で、原発からおおむね半径5キロから30キロ圏のUPZで配布を実施しており、郵送、薬局、事前配布説明会と3つの配布方法で行われております。県の広域避難計画において、安定ヨウ素剤はPAZの住民は事前配布、UPZの住民は避難等と併せて避難経路上での緊急配布を受けるとしています。しかしながら、記録的な豪雪時等における緊急配布において、住民に負担が生じるおそれがあることから、また円滑な受け取りと適切なタイミングで服用を図るために、UPZにおいても事前配布を進めるとしているところであります。県は今後、長岡市を含めたほかのUPZ市町での配布を順次実施するとしております。市は、これまでも県に対して市町村による原子力安全対策に関する研究会などの場を通じて、配布や受け取りに当たっての簡素化や効率化、負担軽減を求めてまいりました。引き続き県と連携し、これらの取組を進めてまいります。また、安定ヨウ素剤は放射性物質に対する万能の治療薬ではなく、避難等と組み合わせて活用することが重要ですので、服用の目的や効果について住民が正しく理解されるよう県に求めてまいります。  私からは以上であります。 ○議長(松井一男君) 相田環境部長。   〔環境部長相田和規君登壇〕 ◎環境部長(相田和規君) 私からは、再生可能エネルギーの普及について、初めに長岡市エネルギービジョン(仮称)についてお答えいたします。  エネルギービジョンは、本市の地域特性を踏まえ、環境と経済の好循環を促進しながら、2050年のカーボンニュートラルに向けた取組を整理するものであります。取扱いにつきましては、この計画を基本に具体的な施策を進めてまいりたいと考えております。  次に、数値目標についてお答えいたします。国や県の目標と合わせ、2030年度の二酸化炭素などの排出量については、2013年度と比較いたしまして46%の削減を本市も目指してまいりたいと考えております。さらに、今後のスケジュールにつきましては、議員の皆様の意見を聞く機会を持ちながら、11月末を目標にビジョンの素案を策定し、広く事業者の方々や市民の皆様へパブリックコメントの募集を行い、今年度中の計画策定を予定しております。  次に、アンケート調査についてお答えいたします。調査の目的は、このたびのエネルギービジョンの策定に当たりまして、省エネ・再エネに対する市民や事業者の皆様の意識、取組状況を把握し、施策に反映させるものであります。調査期間は、本年7月26日から8月末までのおおむね1か月、市民向けには無作為で2,500人の方々を対象に調査いたしました。さらに、事業者向けには500社を対象に実施しております。回答率はそれぞれ53%です。現在、最終的な取りまとめの作業を行っているところであります。このアンケート調査から読み取れることは、省エネの面では空調や給湯器などを10年、20年と使用している割合が高く、省エネ機器への買換えを促すことでCO2のさらなる削減が見込めるといったことが確認されております。また、住まいや事業所の建て替えの面ではZEH、ZEBなどエネルギー効率のよい建物へ建て替えていこうといった関心があること、さらに移動手段の面では市民や事業者の車の保有台数が多い中で、カーシェアリングに関心があることが分かってきております。このような状況から、まずは市民や事業者の方々に対しまして、行動を起こしていただくような情報発信ですとか、支援策をさらに発信してまいりたいと考えております。  次に、カーボンニュートラルに向けた事業展開についてお答えいたします。事業展開に向けた基本的な考え方につきましては、徹底した省エネ対策を推進すること、再生可能エネルギーの日常的な利用を図ること、さらにバイオコミュニティの取組や天然ガスの活用など地域資源の循環の促進という3つの柱を考えております。再生可能エネルギーの普及に向け、まずは昨年度に実証実験を行いました雪国仕様の垂直両面型の太陽光パネルについて公共施設や遊休地への導入を進め、新たな市場開拓につなげてまいりたいと考えております。このほか本年7月に立ち上げました長岡市省エネ・再エネ産業振興プラットフォームでの情報共有やマッチングを通じまして、市内企業の脱炭素分野への参入促進を図るとともに、天然ガスをはじめ、地場産エネルギーを活用した企業進出が実現できるよう努力してまいりたいと考えております。
     私からは以上であります。 ○議長(松井一男君) 若月都市整備部長。   〔都市整備部長若月和浩君登壇〕 ◎都市整備部長(若月和浩君) 最後に、私からは一般住宅リフォーム支援事業についてお答えいたします。  最初に、今年度の実施状況と経済波及効果ですが、当初予算分と補正予算分を合わせて1,270件の申請があり、交付決定額は予算と同額の約6,000万円であります。これにより、市内業者へ約11億9,000万円の工事が発注されることとなります。  次に、ZEH普及等に向けた取組についてお答えいたします。国の法改正に伴う2025年の省エネ基準適合の義務化や2030年までにさらなる基準の引上げが示されている中、今年度には新潟県において、議員からも紹介がありました雪国型ZEH普及事業が開始されたこともあり、今後は県と連携した取組を進め、ZEH普及につなげてまいりたいと考えております。  最後に、コロナ禍における事業継続についてお答えいたします。今後の対応につきましては、コロナ禍や物価・資材高騰等の推移と市民生活や地元経済への影響を注視しながら検討してまいりたいと考えております。  私からは以上であります。 ○議長(松井一男君) 笠井則雄議員。   〔笠井則雄君登壇〕 ◆笠井則雄君 御答弁ありがとうございました。最初の新型コロナウイルス対策及び物価高騰対策の質問のうち、5番目と6番目のいわゆる福祉施設等への支援について、少しお聞かせ願いたいと思います。  福祉保健部長から御答弁がありましたように、既にいろんな施策が支援という形で打たれているということが改めて分かりました。高齢者施設等の関係者に陽性反応があった場合の支援も既に行われている。あるいは、抗原検査キットの支給なども行われている。また、PCR検査の補助事業なども行われているようでありますので、評価しているところであります。  また、6つ目の質問に関わりますが、物価高などに対してもいろいろ調査しながら、利用者へのサービスを低下させない旨、国に要望してまいりたい、あるいは研究してまいりたいという御答弁があったわけであります。市長も述べられましたように、私も先ほど述べさせていただきましたが、なかなかこの物価高が止まる様子はありません。国からきちんとした対応をしてもらうということは当然だというふうに思いますが、ぜひとも長岡市のできる範囲でやっていただきたいなと思うところであります。すなわち福祉の最前線で、保健福祉部長の言葉を借りればサービスを落とさないようにしながら、自分たちの感染拡大も防ぐような、際どいところで本当に頑張っていただいているわけでありますので、長岡市も皆さんの頑張りはよく承知していますよという温かいメッセージというのでしょうか、そういうことも今必要ではないかなと思っているところであります。先般私どものタブレットに情報を頂いているところでありますが、先週も施設の職員が複数人感染して、残念ながらその施設を臨時で閉じるということも起きているようでありますから、全てではないですけど、困難もあるようであります。ぜひとも皆さんからしっかり見ているよと、福祉施設はよく頑張っていただいているなという応援のメッセージが具体化として何か必要ではないかなと思う時期でありますから、改めて質問させていただきたいと思います。 ○議長(松井一男君) 近藤福祉保健部長。   〔福祉保健部長近藤知彦君登壇〕 ◎福祉保健部長(近藤知彦君) 福祉施設等への支援ということで再質問を頂きました。まずもって感染対策に日々細心の注意を払って、安全・安心な介護サービスを提供されている介護事業者、そして介護職の皆様に心より敬意を表します。感染症対策に加えて、原油高で施設の運営にも大きな影響を及ぼしているということは承知しております。こうした物価対策は、第一義的には国において、例えば介護報酬の改定ですとか、そういった制度の見直しで対応すべきではないかと思っておりまして、その点については国に要望してまいりたいと考えております。しかし、制度改正というのがなかなかすぐにはできないというふうに思っておりますので、そこは事業者に最も身近な長岡市として、事業者が何に一番お困りで、それに対して市としてどのような支援ができるかについてもう少し調査研究させていただいて、見極めたいというふうに考えております。  以上です。          ──────────────────────── ○議長(松井一男君) この際、20分程度休憩いたします。   午後2時39分休憩          ────────────────────────   午後3時開議 ○議長(松井一男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ──────────────────────── △質問項目  長岡市における高齢者虐待への対応と養護者支援について ○議長(松井一男君) 次の質問に移ります。  長岡市における高齢者虐待への対応と養護者支援について、豊田朗議員。   〔豊田朗君登壇〕 ◆豊田朗君 市民クラブの豊田朗でございます。通告に従い、一括にて質問させていただきます。  私からは、本市における高齢者虐待への対応と養護者支援につきまして、3点ほど質問いたします。厚労省は、高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果を毎年公表しております。それによりますと、養護者による虐待の相談・通報件数及び虐待の判断件数は、共に毎年増加傾向にあります。高齢者虐待防止法は、高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を推進し、高齢者の権利、利益の擁護に資することを目的としております。しかし、本法律が制定されてから既に20年近くが経過し、厚労省のマニュアルも改定されておりますが、養護者への支援に関しての記述は十分な内容とは言い難い状況にあります。また、国の調査結果におきましても、具体的な養護者支援がどういった経緯で、どのような過程を経て取り組まれたのか、具体的な課題についても明らかになっておりません。そこで、このたびは在宅において発生している高齢者虐待への本市の対応と養護者支援に焦点を当て、より専門的なソーシャルワークの実践を強化する上から、本市における養護者支援の実態と課題、そしてそれに対する今後の方策についてお伺いします。  初めに、本市における高齢者虐待の現状についてお伺いします。厚労省が昨年12月に発表した調査結果によりますと、高齢者を介護する家族らによる虐待は令和2年度に1万7,281件あったとし、前年度から353件増え、過去最多であったと報告しております。お亡くなりになられた方は25人で、前年度より10人も増えたそうです。コロナ禍で介護サービスが休止となり、家族の負担が増えたことも要因の1つとして考えられます。家族らから虐待を受けたと判断された被害者数は1万7,778人であり、そのうち身体的虐待が68.2%と最も多く、次いで心理的虐待が41.4%であったそうです。そして、その発生要因として虐待する側の性格や人格のほか、介護疲れや介護ストレス、虐待を受けた高齢者の認知症の症状が多かったとしております。虐待を行った虐待者の続柄は、息子が最も多く、次いで夫や娘であったようです。介護の必要性が高まれば高まるほど、虐待の深刻さが増す傾向が見られております。厚労省は、この結果について、新型コロナの影響で外出自粛や介護サービスが休止になったことで家族らと過ごす時間が長くなり、負担が増えるなどの要因が複合的に絡み合ったのではないかと分析しております。  また、本県におきましては、高齢者虐待防止法の定義に基づく養護者からの虐待の事実が認められた件数は403件で、前年度より10.4%減少しております。虐待認定率としては、平成18年度以降最も低い数値となっており、県全体の虐待防止の取組に一定の成果が見られたものと思われます。一方で、相談・通報件数は1,161件で、前年度より1.3%増加し、平成30年度以降3年連続で1,000件を超え、調査が開始された平成18年度以降でも最も多かったようです。こうした結果につきましては、今後虐待防止の取組に反映させる上で、複合的な分析が必要かもしれません。  そこでお伺いします。本市におきましても、養護者による高齢者虐待の状況につきましては、全国あるいは本県と同様な傾向が見られると思われますが、現状を把握する上から、本市における相談・通報の件数の推移、養護者以外の行為によるものを含めた虐待認定件数の推移、虐待のタイプ、そして虐待者の種類についてお聞かせください。  続いて、高齢者虐待に係る本市の対応体制についてお伺いします。御承知のとおり、平成17年に高齢者虐待防止法が成立し、翌年4月より施行がなされました。そして、同年の介護保険制度の改正に伴い、高齢者虐待に対応する機関として地域包括支援センターが設置されました。その委託元として市町村が責任を負うことになりました。これにより、高齢者虐待については、地域包括支援センターと市町村が対応の要となったわけであります。厚労省は、設置当初から市町村が地域包括支援センターの運営に責任を持つことを明確にしております。しかし、地域包括支援センターの業務の実態については、平成21年に行われた全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議において、責任の主体の市町村が地域包括支援センターに丸投げ委託をしているなどの問題を抱えていることが指摘されております。また、全国地域包括・在宅介護支援センター協議会からも、高齢者虐待の防止やまちづくりに向けて活発な活動を展開する自治体と制度の円滑な運用がなかなか果たせないでいる自治体とでは格差が広がり、地域包括支援センターの設置、運営に大きな違いが表れていると指摘されております。こうした状況から、国は平成28年の地域包括支援センターの設置、運営についての改正を行い、市町村が地域包括支援センターの運営全般に積極的に関わり、強化していくよう通知しております。  そこでお伺いします。特に虐待発見やその支援のためには地域包括支援センターと市町村が連携し、一体的に運営されることが必要であると考えます。しかし、近年の高齢者虐待対応に係る調査研究では、市町村の体制整備については市町村間でばらつきがあり、虐待防止支援に大きな影響を与えていると指摘されております。そこで、本市における地域包括支援センターと市との関係性につきまして、また地域包括支援センターの設置形態並びに市との役割分担についてお聞かせください。  対応体制に係る市町村間でのばらつきには、虐待対応会議の持ち方にも表れているようです。平成29年に研究者らが大阪府内と京都府内で全ての地域包括支援センターを対象に行った調査によりますと、虐待対応会議の持ち方として、通報、相談等により虐待ケースが上がると随時会議を持って、方針を話し合う市町村が過半数以上であったのに対し、約2割の市町村において、いまだ虐待ケースがあっても、月1回の定例会議まで待って、それをまとめて報告しているということでした。虐待は、即時対応しなければならないケースがほとんどで、定例の会議では緊急的判断に支障を来すおそれがあります。また、市町村の担当者も現場で情報を聞き、時系列的な情報整理も必要となります。直接得た情報で判断しなければ、事実に大きなずれが生じてしまいます。  そこでお伺いします。高齢者虐待防止法では、通報を受けた場合、速やかな高齢者の安全確認、通報等に係る事実確認、高齢者虐待対応協力者と対応について協議しなければならないと迅速な対応を求めております。市町村は、虐待の対応として速やかな安全確認や対応を協議する必要があることを認識し、ケースごとに検討し、支援していかなければなりません。そこで、本市における虐待対応会議の開催状況につきましてお聞かせください。  現在多くの調査において、市町村の対応体制の在り方によっては、高齢者虐待防止法に規定する市町村の役割、いわゆるやむを得ない措置の適用や面会の制限、立入調査などへの関わり方に影響を及ぼす可能性があると指摘されております。また、地域包括支援センターの設置形態によっても、緊急性が高い場合の被虐待者の分離保護や面談の在り方などに差異があることが報告されております。緊急性の判断は、虐待の早期発見、悪化防止に大きな影響を与えます。ある研究者らが対応体制の現状を把握するため、ある県の全市町村を対象に実施したアンケート調査によりますと、緊急度を特定し、危険性のリスクと支援の方向性を判断するために有効であると評価の高いリスクアセスメントシートを活用していると回答した市町村は4%で、一部で活用していると回答した市町村が23%、また何らかの別のシートを活用していると回答した市町村が26.5%ありました。その一方で、何も活用していないと回答した市町村が47%、さらには緊急性判断の事例がないと回答した市町村が8.8%もあるなど、緊急性判断の在り方に違いが見られております。高齢者虐待へ迅速に対応するためには緊急性を判断する際、客観的に判断できるアセスメントシート等の活用と迅速な情報収集体制を整える必要があると考えます。また、被虐待者との面談においては、例えば医療の分野で急な疾患で救急搬送された際、医師が直接診察し、治療方針を判断するように、虐待対応においても専門的知見により状況を捉え、支援の方向性を判断しなければいけないと考えます。  そこでお伺いします。緊急性の判断は、早期発見やその後の悪化防止に大きな影響を及ぼしますが、本市における緊急性の判断基準と被虐待者との面談の在り方につきましてお聞かせください。  続いて、高齢者虐待対応における課題と今後の方策についてお伺いします。多くの市町村において、高齢者虐待の対応体制に様々な課題を抱えております。今後その課題が個別のものか、共通のものか、各市町村で特徴を見いだし、エリアの地域包括支援センター同士、あるいは市と連携しながら早急に基盤を整備しなければならないと考えます。こうした中、昨今市町村の虐待対応担当者の専門性に係る課題が多く指摘されております。令和元年に厚労省より出された高齢者虐待防止、養護者支援に係る通知の中で、専門人材等の十分な人員体制の確保が必要であると市町村職員の専門性の向上と対応力の強化について触れております。市町村職員が第一義的な責任を持ち、対応力を強化しつつ、地域包括支援センター等の関係機関と連携し、専門性を高めることは大変重要であると思われます。  前述しました調査では、地域包括支援センターで虐待に対応している社会福祉士、主任介護支援専門員及び担当ケアマネジャーを対象にアンケート調査を行っております。それによりますと、市町村の担当職員の専門性について「懐疑的である」といった回答が「専門性がある」という回答を上回っておりました。また、自由記述においても、担当者が事務職で、担当課内での人材育成やサポートが不足しているように見られる。また、担当者が2年ごとに異動するため、スキルのばらつきが見られる。それから、数年で担当者が交代されるのはどうにかならないかと感じるなどと担当者に福祉の専門知識がないこと、せっかく理解しても数年単位で異動になってしまうといった記述が散見されておりました。虐待対応で第一の責務を持つ市町村の担当職員に福祉の知識がなければ、適切な対応に不安が生じます。福祉の知識がある担当者を配置することや、市町村レベルで積極的な研修を行うなどが必要なのかもしれません。また、同アンケート調査では、約3割のケアマネジャーが市の担当者とほとんど関わったことがないと回答しており、対応会議に参加できない状況にも違和感を覚えるケアマネジャーもおられるようです。  そこでお伺いします。高齢者虐待の対応体制を整えるには地域包括支援センターによるケアマネジャーへの後方支援の充実、市町村による地域包括支援センターの強化、市町村職員の専門性の底上げが重要であると考えます。そこで、本市における専門性に配慮した職員配置や研修等による知識の習得並びに人材確保の現状と課題について、また先ほど申しました調査によれば、各地域包括支援センターによって認識に相違があるということですので、本市での認識の相違の現状についてお聞かせください。そして、今後本市として専門性の底上げにどのような方策をお持ちか、考えをお聞かせください。  最後に、養護者支援に係る課題と今後の方策についてお伺いします。高齢者虐待防止法は、虐待を罰する法律ではなく、養護者を支援して虐待を防止することと養護者が虐待しないよう、介護等の負担を軽減することなどを目的としております。介護負担や認知症への理解不足などが高齢者虐待の要因の1つになっているため、介護を1人で抱え込んで、虐待してしまわないよう養護者をサポートし、虐待を減らそうとしているものであります。しかし、厚労省が毎年公表している実態調査では、約7割の担当職員が養護者支援を進める上で、養護者との関わりに困難さを感じていると報告されております。そのほかにも支援に必要な知識不足や対応の仕方が分からない、他の部署、他の機関との連携の困難さを感じている、社会資源のひもじさ、身体的、精神的、過度な負担、訴訟等法的リスクへの対応の難しさなどが支援上の困難性として挙げられております。具体的な回答を見ますと、養護者の威圧的で攻撃的な態度に対応の困難さを感じ、そこから来る精神的な、また身体的な過度なストレスを抱え、さらに訴訟リスクへの対応が迫られている苦しい現実がそこから感じられております。  そこでお伺いします。本市におきましても、養護者支援に当たり、同調査と同様な実態があろうかと思いますが、本市における支援上の困難性の現状につきましてお聞かせください。  困難性回避の方策として、多くの専門家より保健、医療、福祉分野のみならず、法的リスクを回避するため、司法分野との協働が不可欠であること、支援は長期化することがあるため、1人の専門職に負担が偏らないよう役割分担を行い、組織的にサポートし合えるチームをつくること、専門分野を超えた協力体制を構築し、ネットワークやチーム力、対応力を上げることなどが指摘されております。確かに困難性を緩和する上で、こうしたネットワークの構築や専門的なソーシャルワークの活用は大変有効であると思われます。  高齢者虐待への対応として行政や専門職に求められる役割は、虐待の未然防止、早期発見、虐待への介入、再発防止の4つに区分されます。特にそれらを進めていく上で最も重要なのが地域の関係者が協力・連携して対応する高齢者虐待防止ネットワークの構築であります。高齢者虐待防止法では、市町村に対し、虐待防止や早期発見、養護者に対する適切な支援を行うため、関係機関や民間団体と協力・連携体制を取りながら体制を整備することが必要であるとし、地域におけるネットワークの構築を求めております。そして、地域の実情に応じて早期発見・見守りのネットワーク、保健医療福祉サービス介入ネットワーク、関係専門機関介入支援ネットワークの3つの機能から成るネットワークの構築を提案しております。先ほど申しました実態調査からも分かるとおり、担当職員は連携や社会資源の活用に課題を感じており、市町村でこれら3つの機能を持ったネットワークが構築されているかどうか、さらにはそのネットワークが本当に機能しているかどうかが大きな鍵となります。  虐待対応は担当部署のみの対応では難しく、福祉と保健、医療、法律、警察、消防などの関係機関、団体との連携とネットワークが不可欠であり、さらに一部の団体や組織だけではなくて、住民全体がその社会資源の一員として構成されなければならないと考えます。こうしたネットワークの構築に成功したのが福岡県の大牟田市であります。超高齢都市である大牟田市では、平成12年に介護保険制度がスタートして以降、認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、職種や世代を超えた地域ネットワークを構築しようと様々な取組を行っております。中でも有名な取組が徘徊模擬訓練であります。地域づくりのために、自治会や民生委員、そして地域資源をより活用していこうと認知症SOSネットワーク模擬訓練が実施されております。訓練の内容でありますが、認知症高齢者が徘徊によって行方不明になったと想定して徘徊役を立て、徘徊役の人に関する情報が警察から高齢者等SOSネットワークを通じて、まず市に送られます。その後、郵便局や消防署、小学校区の役員や介護事務所など、さらには周辺市町村へも連絡が入ります。そして、市民には市から「愛情ねっと」という市民向けメール配信システムを通じて情報が伝達されます。それを基に住民たちが徘徊役を捜し、見つけたら声をかけ、保護するというものであります。大牟田市においては、認知症高齢者に対する地域住民の意識がこれほどまで高いのは、こうした模擬訓練だけの成果ではありません。子どもたちへの認知症啓発のため、絵本を作り、読み聞かせる絵本教室も開催しております。平成26年から小・中学校への出前教室が始まり、現在まで約6,000人以上の子どもたちが参加しております。さらに、認知症コーディネーター養成研修も独自で行っており、この修了生たちが模擬訓練の取組をサポートしております。このように大牟田市では10年以上の歳月をかけて、地域ぐるみでのネットワークを構築させてきました。そして、最近ではこの大牟田市の方法を大牟田方式、あるいは大牟田モデルとして取り入れた自治体も出てきております。  次に、専門的ソーシャルワークの活用でありますが、先ほども述べました実態調査でも分かるように、担当職員が養護者支援を進める上で最も困難を感じているのが養護者への関わりであります。養護者支援は、養護者への関わりを抜きに実現しません。養護者支援を行う際、担当職員には支援に必要な知識が求められ、養護者等の情報を収集します。そして、支援計画を策定していく上でアセスメントが行われ、支援の見通しを持って取り組まなければなりません。したがって、こうした専門的ソーシャルワークの実践が行われていないことで多くの困難が生じると言われております。それぞれの困難性に共通するのは、全てソーシャルワークの実践における専門性であり、その困難さは専門的ソーシャルワークの実践能力の欠如から生じていると専門家からも指摘されております。支援される養護者側に適した専門的実践が行われるよう、人材の養成や配置、研修などを見直すことも大切であると考えます。  昨今こうした課題を解消しようと、多くの自治体で導入され始めているのが関東学院大学の福田あけみ教授ら数名の研究者によって開発された安心づくり安全探しアプローチという手法であります。先ほど述べましたとおり養護者を支援する上での困難性は、虐待する家族から介入を拒否される、家族にどう対応していいか分からないといった感情が発端となります。援助者が一旦困難を感じてしまうと、難しいという認識ができるだけ関わりたくないという感情を引き起こし、足が遠のいたり、積極的なアプローチができなくなるといった行動変容につながります。そして、結果として適切な介入が遅れ、家族との関係形成を難しくしてしまうと言われております。この手法の特徴は、担当職員の困難感や回避感情を少しでも和らげ、介入を拒否する養護者との関係づくりに役立ち、援助者に有用で、高齢者本人や擁護者にとっても有益な実践的なアプローチであるところにあります。家族との関係性をつくり出し、対話の中から状況変化を引き出す支援モデルであり、ここ数年この手法を導入している市町村も増えております。また、地域包括支援センターの専門職だけではなく、行政の担当職員の研修としても昨今取り上げている自治体も多く見られております。  そこでお伺いします。以上のように高齢者虐待に係る養護者支援においては、地域ネットワークの構築と、こうした専門的ソーシャルワークの実践といった2つの側面からの支援が大変重要となります。本市としても、車の両輪のごとく、大牟田市のような虐待防止ネットワークの構築と新たな手法として安心づくり安全探しアプローチの導入による専門的ソーシャルワークの実践の両立を目指すべきと考えますが、本市の見解をお聞かせください。 ○議長(松井一男君) 磯田市長。   〔市長磯田達伸君登壇〕 ◎市長(磯田達伸君) ただいまの豊田議員の御質問にお答えいたします。私からは、御質問の最後の項目にあった虐待防止のネットワーク構築と専門的ソーシャルワークの実践についてお答えしたいと思います。  高齢者虐待の問題は、家庭内の介護疲れや不和などを原因とすることが多いとされておりますが、そのためにこれまであまり表に出てこなかったということがあります。しかし、相談支援体制を充実させる中で顕在化し、数字に表れてきたというふうな現象がございます。加えて昨今の虐待原因の多様化、複雑化という実態もあることから、本市では虐待の未然防止、発生後の深刻化防止に向け、地域包括支援センター、介護福祉施設、医療機関、保健所、民生委員、パーソナル・サポート・センター、警察など、多くの機関からの情報提供体制と対応に当たっての協力・連携体制を構築しております。また、市内の企業や商店等の約1,700社から賛同いただいているシルバーささえ隊による見守り活動や情報提供によりまして、未然防止や深刻化防止につなげているところであります。  実際に虐待の相談や通報があった場合でありますが、地域包括支援センターを中心に、まず具体的かつ詳細に事実確認をするとともに、高齢者本人や御家族と面談して希望を確認いたします。こうした情報を基に、市の担当者や専門員等による検討会議で対応方針や関係機関の役割分担を決定いたしまして、対応に当たる福祉施設などの関係機関と連携しながら、高齢者及び養護者への継続的な支援を行っているということでございます。確かに虐待への対応は自治体ごとに異なる部分がありまして、本市の対応についていろいろ振り返ってみますと、議員御提案の安心づくり安全探しアプローチと共通する手法や考え方も取り入れながら養護者支援を行って、問題解決に当たっているところであります。しかし、御指摘いただいたような観点から、これから改善の余地も十分あるというふうに考えておりますので、御紹介いただきました先進事例や成功事例等を参考にしながら、関係機関のネットワークを強化し、個々のケースに寄り添った対応に努めてまいりたいと考えているところであります。  私からは以上でありますが、残りの御質問については福祉保健部長からお答えいたします。 ○議長(松井一男君) 近藤福祉保健部長。   〔福祉保健部長近藤知彦君登壇〕 ◎福祉保健部長(近藤知彦君) 残りの御質問にお答えいたします。  初めに、本市における高齢者虐待の現状についてお答えします。まず、虐待の相談・通報等の推移ですが、令和元年度は219件、2年度は185件、3年度は204件となっております。  次に、虐待件数の推移についてですが、虐待の相談・通報等のうち、実際に虐待に該当すると判断した件数は、養護者以外によるものも含めますと令和元年度は123件、2年度は93件、3年度は100件となっております。なお、法で定めます虐待の定義に基づく養護者からの虐待件数は、令和元年度は68件、2年度は53件、3年度は47件となっております。  次に、虐待のタイプについては、行為の内容により身体的虐待、介護や世話の放棄・放任、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待の5種類がございます。  次に、虐待者の種類、すなわち誰から虐待を受けているかについてですが、令和元年度以降3年連続で養子を含む息子からの虐待が最も多く発生しております。続いて、養子を含む娘と夫による虐待が多くなっております。  次に、高齢者虐待に係る本市の対応体制についてお答えします。初めに、地域包括支援センターと市との関係性についてです。設置形態につきましては、市内に11か所ある地域包括支援センターは、全てを社会福祉法人に委託しておりますが、地域包括支援センターを統括する高齢者基幹包括支援センターは市直営となっております。  次に、市と地域包括支援センターとの役割分担については、虐待対応の多くは両者が協力・連携して行っております。しかし、虐待の有無の判断、対応方針の決定、立入調査の要否及び面会制限の要否に関する判断、保護等の措置は行政権限の行使であるため、市のみが行うものとなっております。  次に、虐待対応会議の開催状況についてですが、本市は虐待の通報を受け付けた場合は速やかに事実確認を行い、コア会議をその都度随時開催しております。  次に、分離保護、緊急一時保護の対応についてお答えします。判断基準についてですが、5段階評価の総合判断シートにより、高齢者や虐待者の能力や言動の傾向、家族の状況、高齢者への危険度をチェックし、深刻度及び対応方針を決定します。深刻度が重い場合には即日対応などの緊急対応を決定する場合もあります。また、緊急対応を要する中でも高齢者と虐待者が同居していることにより、高齢者の生命または身体に重大な危険が生じるおそれがある場合には高齢者を一時的に保護しますが、その際は高齢者の身体状況、心身や経済的な自立度、判断能力、支援者の有無等を聞き取り、入居可能な施設等を御案内しております。  次に、面談の在り方については、虐待の通報を受けた場合は地域包括支援センターを中心に、高齢者、虐待者及び両者と親しい関係者等から面談等により詳しい事実確認をするとともに、おのおのの希望を聞き取っております。適切な虐待対応をするため、他者の影響を受けない状況で面談等を行うよう工夫しております。  次に、高齢者虐待対応における課題と今後の方策について、市長答弁以外の御質問にお答えいたします。初めに、市担当者の専門性についてお答えします。専門職や継続的な職員配置についてですが、高齢者基幹包括支援センターには市の行政保健師を配置するとともに、社会福祉士、保健師、精神保健福祉士といった専門的な資格と相談援助業務の経験を有する職員を外部から採用し、高齢者虐待をはじめとする権利擁護業務に専門的に対応しております。  次に、研修等による知識の習得については、日頃から外部研修の受講のほか、担当者全員による事例検討や振り返りにより知識、経験値の伝達、習得等を行い、対応力の向上に努めております。  次に、人材確保についてですが、市では保健師や福祉経験のある一定数の正規職員を常に配置しております。そのほかの高齢者権利擁護支援員については、欠員補充や増員のタイミングで適宜公募を行っております。資格が必要なことや休日・夜間の突発的な対応が求められることから、採用は困難な状況ですが、継続的に人材確保に努めております。  次に、各地域包括支援センターの対応に係る認識の相違については、担当地域や受託法人の違いによるほか、職員の経験してきた職場やその年数等によっても対応に相違が生じることがあります。このため高齢者基幹包括支援センターでは、職種や経験等に応じた研修や具体事例に基づいた模擬研修等の多様な研修を実施しております。さらに、職種ごとの意見交換会や経験別意見交換等、全11センターが交流する機会を設け、認識の共有や資質向上を図り、全体の底上げにつなげております。  最後に、養護者支援の困難性についてですが、近年は虐待原因が多様化、複雑化しており、養護者支援も様々な対応が求められております。困難事例といたしましては、高齢者本人や養護者が医療や介護、福祉サービスを拒否する場合、対応施設の不足や費用負担能力がない場合、それから養護者に心身の疾患がある場合などであります。こうした様々な課題がございますが、虐待の早期発見、早期対応に努め、本市における虐待を減らしていけるよう努力してまいります。  以上です。          ──────────────────────── △質問項目  国語力について ○議長(松井一男君) 次の質問に移ります。  国語力について、田中茂樹議員。   〔田中茂樹君登壇〕 ◆田中茂樹君 市民クラブの田中茂樹です。通告に従い、国語力について、一括方式にて質問いたします。  国語力とは、文部科学省によれば、考える力、感じる力、想像する力、表す力の4つの力を指し、語彙力、情緒力、想像力、論理的思考力を基本としています。また、読解力とは国語力の中心的な存在で、正確に読み取り理解する基礎的読解力と、他者の気持ちを理解する情緒的読解力の2つがあります。国語力、読解力は、学力や人間関係に大きな影響を与えるので、社会生活を営む上で最も重要だと考えられます。そこで、本市の国語力、読解力に関わる現状を明らかにするとともに、市民、とりわけ子どもたちの国語力の向上をさらに推進していくために、大きく2つ質問いたします。  初めに、子どもたちの学力と読解力についての現状と課題について3点お伺いします。  1つ目は、本市の全国学力調査の結果と評価についてお伺いします。去る7月29日の新潟日報の朝刊で、全国学力・学習状況調査の新潟県の結果が全国と同水準もしくはやや下回ったとの報道がありました。以前は、新潟県の子どもたちの全国順位が今よりも高かった記憶がありましたので、2013年からここ数年の結果を確認しました。2020年は新型コロナウイルスの関係で中止になりましたけれども、小学生は2016年まで全国8位でしたが、2022年は22位、中学生は近年では2018年の16位が最高でしたが、今年は31位と小・中学生ともに年々順位が下降しています。また、これまでも気になっていたのですけれども、本県の場合、小学生は全国でも高い順位にあったのが、中学生になると順位が下がる傾向があります。今年の中学3年生を例にとれば、彼らが3年前の小学6年生のときに受けた調査では全国10位でしたが、中学3年生になった今年は31位と大幅にダウンしています。全国学力・学習状況調査の結果は、順位に一喜一憂するものではなく、子どもたちの状況を確認し、改善を図るためのものであることは重々承知していますが、長岡の子どもたちの状況は大変気になります。そこで、本市の全国学力・学習状況調査の結果と評価についてお聞かせください。  2つ目の質問は、本市の学校での読解力向上のための取組と課題についてお伺いします。OECDが3年ごとに行っている学習到達度調査、PISAでは、日本の子どもたちの読解力の順位がこれまで最高で4位だったこともありましたが、直近の2018年の調査では15位に転落し、国語力の危機が話題となりました。また、国立情報学研究所の新井紀子教授が書いた「AIvs.教科書が読めない子どもたち」という本の中で、中学生のおよそ5割が教科書の内容を正確に読めていないという衝撃的なデータを発表しました。教科書に書かれている文章の意味が理解できなければ、内容自体を理解できるはずもありません。例年の全国学力調査・学習状況調査でも、小・中学生ともに読書や新聞を読む習慣がある子どものほうが正答率が高いのは、ふだんから基礎的読解力を鍛えているからではないでしょうか。しかしながら、今年の全国学力調査・学習状況調査の結果によれば、本県では読書をほとんどしない小・中学生がおよそ3割、新聞をほとんど読まない小・中学生が7割以上だったことに大変心配しています。また、驚くべきことに、ある調査によれば、小・中学生の保護者世代である30代、40代の新聞購読率はそれぞれ32.9%、43.1%と成人の全世代の中でワースト1位、2位でした。保護者が読まなくなった新聞を子どもたちが読むでしょうか。本市では、朝読書や新聞を使った授業などが行われ、本や新聞に触れるきっかけになっている点は大変評価しておりますが、さらに充実を図ってほしいと思います。  子どもたちの中には読書をすること、本のある場所、図書室が心の居場所という子もいます。しかし、読書をする人、図書室に行く人は、オタク、陰キャラ、低カーストとひどい偏見を持たれ、読書も図書室に行くこともできないという許し難い話を聞いたことがあります。このような偏見をなくし、誰もが図書室に行き、読書を楽しめる環境づくりと意識づけを行うべきです。また、読解力は国語の教科だけでなく、論理的思考力を養う算数や数学など、様々な教科学習の中で伸ばすべきだとこれまでの研究調査で分かっています。ですが、昨年10月に大阪市教育委員会が小学3年生から中学3年生までを対象に、週1回の総合的な学習の時間の中で読解力を育成する授業を来年度から行うという興味深い報道がありました。そこで、本市の学校での読解力向上のための取組と課題についてお聞かせください。  3つ目の質問は、リーディングスキルテストの導入に向けた検討についてお伺いします。先ほど紹介しました新井紀子教授の研究グループが開発した基礎的読解力をはかるリーディングスキルテストは、埼玉県戸田市など全国の教育委員会、大学、高校などで導入されており、読解力の向上と授業の改善に活用されています。また、教育現場に限らず、名古屋市のある企業では、新卒採用の目安にするため、リーディングスキルテストを導入しています。そして、燕市教育委員会が昨年度から県内で初めてリーディングスキルテストを導入したとのことで、今年5月に市民クラブ有志で視察をしてまいりました。燕市では、読解力育成プロジェクトの一環として、小学6年生から中学3年生までの児童・生徒にタブレットを使ってリーディングスキルテストを受験させ、その結果を学習指導の資料にしているほか、全ての教科において読解力育成、リーディングスキルテストの視点で授業づくりや研修を行っています。説明してくださった教員の方は、授業で自分の説明が生徒に伝わっているものと勘違いしていた、もっと早く現場で活用したかったとおっしゃっていました。子どもたちの読解力の状況や弱点を把握し、全ての授業で活用できるというメリットがあるならば、本市でも導入に向けて検討すべきではないかと考えますが、リーディングスキルテストの導入に向けた検討についてのお考えをお聞かせください。  次に、国語力の向上について3点お伺いします。1点目は、本市の読書に関する取組についてお伺いします。小・中学生に限らず、若い人たちの会話やSNSでの会話は、短い言葉や数少ないボキャブラリーでのやり取りが多いようで、私自身彼らの語彙の乏しさに気づかされたことがありました。語彙が増えれば、思考力とともに他者への思いも深まりますが、語彙が乏しいままでは自己中心的な考えのまま、浅いコミュニケーションしか取ることができません。誹謗中傷やいじめの原因は、汚い言葉しか知らない語彙力の低さ、相手の痛みや悲しみをおもんぱかる共感力の弱さであり、また被害者自身も心の傷をうまく言語化できずに苦しみ、不登校やひきこもり、最悪自ら命を落とすことがあると心理学の専門家は指摘しています。これは、子どもだけの問題ではありません。ネットの炎上やデマの拡散、クレームは、ほとんどが貧弱な国語力によって起こると言われています。その国語力は、読書によって育まれます。読書は、知識と教養が身につき、様々な視点を持つことができるので、他者への共感性や理解力、自己の思考力が深まる効果があります。しかし、先ほども紹介しましたとおり本県の小・中学生の不読率はおよそ3割。また、ある調査によれば、高校生、大学生、社会人の不読率は5割を超え、読書をする人としない人の二極化が進んでいるとのことです。  本年度から高校の国語の科目編成が大幅に変わり、難解な評論や小説は選択科目となったそうです。つまり場合によっては「羅生門」や「山月記」、小林秀雄の評論などに触れることのないまま大人になるのでしょうか。高尚な文学作品を味わい、難解な評論を読むことは、人生や社会について深く考え、価値観を形成する上で最も大切なことですが、これを二極化した個人の読書活動に委ねることになれば、ますます教養の格差が広がるでしょう。  子どもたちはもちろん、市民の読書機会、文化的生活を支える拠点は図書館です。家庭の経済格差が学力格差に影響を与えていると言われていますが、様々なハンデを乗り越え、知力を高められるのは読書であり、図書館の役割は非常に大きいと思います。東京都荒川区は、平成30年に「読書を愛するまち・あらかわ」宣言を行い、区内の市有施設のほか、病院や飲食店など民間施設にリサイクル図書を設置する街なか図書館を整備するなど、本が身近にあるまちづくりを進めています。また、障害の有無にかかわらず、全ての人が読書に親しむことができるようにと2019年6月に読書バリアフリー法が制定されました。本市でも、読書イベント、読書のきっかけづくり、移動図書館など工夫を凝らした取組をされており、大変評価しておりますが、国語力の向上のためにも、本が身近にあり、誰もが読書に親しむまちづくりをさらに進めていただきたいと思います。そこで、本市の読書に関する取組の現状と課題についてお聞かせください。  また、来年度オープンのミライエ長岡は人材育成がテーマだとお聞きしており、特にミライエ長岡に移転する互尊文庫において、テーマを生かした読書活動に市民の期待も大きいと思います。そこで、新しい互尊文庫のコンセプトや思い、期待する効果などを改めてお聞かせください。  質問の2点目は、幼少期の語彙力の向上と保護者への啓発についてお伺いします。幼少期の読書は、読書習慣を身につけ、語彙を豊かにし、社会生活に必要な非認知能力の育成に大きな効果があります。そして、就学前の語彙の習得状況がその後の学力に大きな影響を与えていることは、これまでの研究で既に明らかになっています。本市では、ブックスタート事業をはじめ、読み聞かせイベントなど、多くの取組が行われています。しかし、大事なのは自分から本を手に取るという能動的な行動につなげていくための仕掛けづくりだと思います。その方策の1つとして、読書の見える化で達成感を味わう読書通帳があります。滋賀県彦根市では就学時、そして山口県萩市では母子手帳の交付時に読書手帳を渡し、効果を上げているそうです。この議論については、平成26年12月定例会にて中村耕一議員一般質問され、導入の検討を行うとの御答弁があったことを議事録で確認いたしましたが、その後の検討状況についてお聞かせください。  親に「本はとてもためになるものだから、本を読みなさい」と言われ、素直に読んだ人はどのくらいいらっしゃるでしょうか。子どもは、モデリング効果といって、親の行動をまねするものです。しかし、大人の半数以上が読書をしないのが現実です。読書をしないでスマートフォンばかりいじっている姿を見せて、果たして子どもが積極的に読書をするでしょうか。2017年のある調査によれば、子どもが本を読むきっかけとして最も多かった答えは、家族が一緒に図書館や書店に行き、一緒に読書をしたというものでした。子どもの読書活動は、保護者次第だということです。本市でも子どもの読書について保護者啓発を行っていますが、なぜ読書が必要なのか、読書が子どもたちの生きる力を育む絶大な効果があることなどを保護者が理解し、行動してもらうことが大切だと思います。そこで、本市の幼少期の語彙力の向上と保護者への啓発についての現状と課題について、市のお考えをお聞かせください。  質問の3点目は、第2次長岡市子ども読書活動推進計画の現状と課題についてお伺いします。本市の子どもたちの読書活動の基本的な考えと具体的な取組を示した第2次長岡市子ども読書推進計画は、本年度末で終了します。これまで子どもたちを取り巻く国語力、読解力、そして読書についての現状と課題について述べてまいりましたが、本市としてこれらの課題をどう認識し、子どもたちの読書推進に今後どうつなげていかれるのでしょうか。第2次長岡市子ども読書活動推進計画の現状と課題など、本市のお考えをお聞かせください。  日本は言霊の国として、言葉の持つ力を大切にしてきました。そして、我々は漢字、平仮名、片仮名、アルファベット、アラビア数字という多様な文字を使い分ける世界でもまれな国です。戦後間もなく、GHQは我々から漢字や仮名を奪い、ローマ字表記のみにしようと企てましたが、日本人の識字率の高さがそれを断念させました。もしローマ字だけになっていたら、我々の国語、精神、文化、そして国家はどうなっていたでしょうか。日本人の国語力が国を守ったのです。祖国は国語と言われるとおり、我々の伝統や文化、情緒を形成し、日本人としてのアイデンティティーを支え、未来をつくるのが国語です。また、近頃では親ガチャという生まれ落ちた環境を憂う言葉がありますが、たとえ厳しい状況であっても、それを乗り越え、幸せで豊かな人生を送るためのヒントをくれるのが読書であり、そこで身につけた教養と国語力ではないでしょうか。そこで、市民、とりわけ子どもたちの国語力の向上のために、一歩進んだ取組を進めていくべきだと考えますが、本市のお考えを最後にお聞きして質問を終わります。 ○議長(松井一男君) 安達教育部長。   〔教育部長安達敏幸君登壇〕 ◎教育部長(安達敏幸君) 私からは、学力と読解力に関する御質問、読書に関する取組、第2次子ども読書活動推進計画に関する御質問にお答えいたします。  初めに、全国学力・学習状況調査の結果についてお答えいたします。長岡市の結果といたしましては、全体的には小・中学校ともに全国平均と同等でありました。一方で、詳細を分析いたしますと、例えば小学校の国語では自分の立場をはっきりさせて、自分の考えをまとめる問題の正答率が、中学校の国語では自分の考えが伝わるように、根拠を明確にして書く問題の正答率が全国を下回るなど、問題項目ごとに課題が見られました。
     次に、学校での読解力向上のための取組といたしましては、国語の授業では子どもの理解度に応じて丁寧に音読指導を繰り返したり、読み取る目的を明確にして学習を進めたりしております。また、他教科でも説明部分や問題文の意味を正確に読み取ることを大切にしながら授業を進めるなど、子どもの発達段階や学ぶ過程に応じて工夫した取組を行っております。一方で、課題といたしましては、全ての教育活動を通じて読解力を育成する意識を学校全体で共有し、これまでの組織的かつ計画的に進めている取組を一段高めていき、質をより向上させることが必要であると考えております。  次に、リーディングスキルテストの導入についてお答えいたします。このテストは、読解力を把握するための1つのツールであると認識しております。各学校におきましては、様々なテストをはじめ、今回の全国学力・学習状況調査についても全教職員で分析し、読解力の把握を行っており、その結果を踏まえ、日々の授業改善に生かすよう協議を行っています。また、市の教育センターにおきましても研修講座や行政研修等において、読解力向上のための方策を具体的に示しながら日々の授業に生かすよう指導しているところであります。このような状況から、リーディングスキルテストの導入につきましては、現在のところ考えていないものであります。  次に、本市の読書に関する取組についてお答えいたします。市では、第2次長岡市子ども読書活動推進計画に基づき、子どもの読書活動を推進していくために、家庭、保育園、学校、図書館などが連携して様々な取組を展開しております。今年度におきましては、ゼロ歳児から中学生までを対象とした長岡の子どもたちに読んでほしい100冊の本のブックリスト「よもよもブックス」を作成し、小・中学生には学校を通じて全員に配付するとともに、各図書館や子育ての駅、保育園などに設置いたしました。また、読書通帳につきましては、これに代わるものとしまして、図書館のホームページにおきまして借りた本の履歴を残したり、自分専用の本棚を作成したりすることが可能となっております。また、図書館のイベントで手書きタイプの読書通帳も配布しております。今後も子どもが本を手に取りやすい環境を整え、さらなる読書習慣の向上に取り組んでまいります。  次に、第2次長岡市子ども読書活動推進計画の現状と課題についてお答えいたします。この推進計画は、先ほど御紹介がありましたとおり平成30年度から令和4年度までの5年間で3つの基本方針である成長段階に応じた読書環境の整備、子どもの自主的な読書活動を推進するための関係機関の連携強化、読書に親しむ機会の充実、これらの視点から成長段階に合わせた様々な取組を着実に実施しているところであります。一方で、課題といたしましては、子どもの生活様式が多様化し、中学生の読書離れの傾向があると認識しております。関係機関の様々な取組により、次代を担う子どもたちが読書を通じて豊かな情操と生きる力を育むことができるよう、読書活動のさらなる推進を図ってまいります。  私からは以上であります。 ○議長(松井一男君) 五十嵐ミライエ長岡担当部長。   〔ミライエ長岡担当部長五十嵐正人君登壇〕 ◎ミライエ長岡担当部長(五十嵐正人君) 私からは、本市の読書に関する取組の中で、米百俵プレイスミライエ長岡に移転する互尊文庫についてお答えいたします。  新しくオープンする互尊文庫は、米百俵の精神の原点となった国漢学校の跡地に、野本恭八郎の図書館は自己研さんの場、人づくりの場であるという理念を受け継ぎながら、魅力ある場として、来年夏の開館に向けて準備を進めているところです。本の魅力が伝わりやすいテーマの設定やわくわくするような本棚作りを行い、思いもよらない本との出会いから刺激を受け、気づきやひらめきが生まれ、それぞれの行動につながるような取組を検討しておりますが、議員が重要視されております読書を促すための様々な工夫をしてまいりたいと考えております。そして、時代の変化に対応した新しい学びや情報を得られる場として、本を通してミライエ長岡の他の機能と連携し、創造的な活動やイノベーションにつながる図書館を目指してまいります。  私からは以上です。 ○議長(松井一男君) 水島子ども未来部長。   〔子ども未来部長水島幸枝君登壇〕 ◎子ども未来部長(水島幸枝君) 私からは、早い段階から本に親しむための市の取組についてお答えいたします。  本市では、議員のほうからも御紹介がございました赤ちゃんへの絵本の読み聞かせを通じて親子のコミュニケーションを育むきっかけとなるよう、赤ちゃん相談等で絵本をお渡しするブックスタート、それから図書館でお勧めの絵本を複数セットにして貸し出す「ベビーパック」などに取り組んでおります。また、子育ての駅で絵本の読み聞かせを行ったり、親子で自由に本を読むことができる図書コーナーを設置したり、外部講師を招いて保護者向けに講座を開催するなど、絵本の楽しみ方や楽しさを伝えているところでございます。一方で、議員御指摘のようにメディアの活用が進んだことにより、絵本に触れない保護者の増加、それから子どもの発達への影響など、懸念される課題があることについては市としても認識しております。我々といたしましては、乳幼児健診など保護者と接する様々な機会を捉えまして、言葉への興味や関心、育むことの大切さ、それから親子で絵本を楽しむことの意義などについて啓発に努めてまいりたいと考えております。  私からは以上です。 ○議長(松井一男君) 金澤教育長。   〔教育長金澤俊道君登壇〕 ◎教育長(金澤俊道君) 私からは、今後の取組についてお答えいたします。  私たち日本人は、日本語を使ってものを考え、お互いにコミュニケーションを取っています。人と関わりながら、創造的で豊かな人生を送るためには、国語力の向上は大変重要なことだと考えています。また、議員から御紹介がありました国語力の向上については、言語力の向上が必須であると考えています。言語力は、一般的に語彙や文法などの言語に関する知識と、言語を活用する力から成ると言われています。言語を活用する力には事実を論理的に正確に理解したり、的確に分かりやすく伝える技能と同時に、相手の置かれている状況や感情、伝えたいことを把握し理解する、表現する力も含まれております。美しい言葉や心の籠もった言葉の交流は、人間関係をより豊かなものに高めてくれると考えています。文字を読んで、その内容を正確に理解する技能を習得すると同時に、美しい自然や文化に触れる体験をすることで豊かな心情を育み、言語活動を一層高めていくことが期待されます。したがって、言語活動、ひいては国語力を高めていくためには言語に関する知識や論理的な思考力、さらに豊かな感性や想像力、コミュニケーション力など総合的に育成する必要があります。  その取組として、2点申し上げます。1点は、授業における言語活動の充実であります。1人1台端末の有効活用のために、長岡市ではエデュダイバー構想を進めております。その中核をなすものが授業イノベーションです。タブレットの活用により、一人一人が自らの考えを瞬時に表出し、タブレット上で確認し合うことが可能となりました。この効率化により生まれた時間を相互交流、対話的な学びの時間に活用いたします。自らの考えを活字としてまとめて、それを対話による子ども同士の交流によって、言語を活用する力の向上を目指してまいります。これは、国語科に限らず全ての授業、教育活動全般において実施していきたいと考えております。また、タブレットによって、安易にネット上での理解にとどまることがないように、「熱中!感動!夢づくり教育」を着実に実施し、子どもたちの体験活動を保障し、豊かな感性を養ってまいりたいと考えています。  2点目は、読書活動の推進です。本に親しむことは、語彙力の向上や物の見方、感じ方、考え方を広げたり、深めたりするとともに、言語感覚の育成や日常の言語生活の質の向上が期待できます。先ほど教育部長から答弁がありました「よもよもブックス」や「ベビーパック」の活用や図書館、保育園、学校、家庭の連携により、長岡市子ども読書推進計画を着実に進めてまいります。また、保育園、小学校における読み聞かせ、中学校での朝読書など、子どもたちが日常的に読書に親しむ環境を整えて読書による子どもたちの言語力の向上を目指してまいります。  長岡市の子どもたちが言語を媒介として論理的に物事を理解し、豊かな感性で心が通った言葉のキャッチボールができる人間として成長するように、今後も粘り強く取り組んでまいりたいと考えています。  以上です。          ────────────※─────────── ○議長(松井一男君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。  本日は、これをもって散会いたします。   午後4時12分散会          ────────────※───────────  地方自治法第123条第2項の規定により、ここに署名する。                        長岡市議会議長  松 井 一 男                        長岡市議会議員  中 村 耕 一                        長岡市議会議員  丸 山 広 司...